2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

木魚歳時記 第1896話

聖者の徳 王さまの乗った馬車と、聖者の乗られた馬車が、偶然、狭い道で鉢合わせをいたしました。双方の馬車がすれ違うには、どちらかの馬車が道を譲(ゆず)らねばなりません。しかし、馬車の馭者(ぎょしゃ)はそれぞれ道を譲ろうといたしません。そこで、…

木魚歳時記 第1895話

鬼子母神(きしぼじん) 昔、インドに女鬼がいて、子どもをさらって食べてしまうので親たちから恐れられていました。そこで親たちは「なんとかしてください。」と、お釈迦(しゃか)さまのところに相談にゆきました。そこでお釈迦さまは、鬼子母神の500人…

木魚歳時記 第1894話

王の衣類 盗賊がいました。或る日、盗賊は王さまの蔵に忍び込み、宝石をちりばめた立派な衣類を盗み出しました。ところが運悪く王の家来につかまり、王さまの前に連れて行かれたのです。王さまが「どうして盗みに入ったのか」と尋ねましたところ、盗賊は「こ…

木魚歳時記 第1893話

塩を食う やはり愚人がいました。或る日、愚人は、友人の家でご馳走になりました。ところが、出された料理が甘すぎると感じた愚人は、そのことを友人に訴えました。そこで友人は、愚人のために、塩をふりかけるようさし出しました。ところで、塩を少し料理に…

木魚歳時記 第1892話

蓄える 或る所に愚人が住んでいました。ところで、或る時、愚人の家に大勢の来客を招待することになりました。そこで愚人は、来客に何を振舞おうかと思案いたしましたところ、新鮮な牛乳をご馳走することにしたのです。しかし、大勢の客に振舞うには大量の牛…

木魚歳時記 第1891話

門番 或る時。家の主人が召使を呼んで、これから自分は出かけるが「家の門とロバには気をつけるように。」そう注意をしてから出かけてゆきました。ところがしばらくすると、家の近くで大道芸が始まり、楽しそうな音楽が聞こえてくるではありませんか。「あそ…

木魚歳時記 第1890話

二等分 或る長者が住んでいました。ところが、この長者が病に罹(かか)り、寿命が尽きることをを知りました。そこで、子どもたち二人を自分の枕もとに呼んで遺言をすることにいたしました。「自分が死んだときはなんでも二等分するように」。そういい残して…

木魚歳時記 第1889話

火宅の喩え 長者が住んでいました。長者は七人の子宝に恵まれ、なに不自由なく暮らしておりました。ところが、ある日、大きな屋敷の隅から出火し、火勢はどうしようもなく家全体におよぼうとしています。ところが、気が付くと屋敷の奥には七人の子供たちが、…

木魚歳時記 第1888話

ガイド 砂漠を行く旅人の群れがありました。旅人たちは砂漠にくわしいガイドの者を除けば、一族の者たちで占められていました。ところで、折悪しく砂漠は砂塵が吹き荒れ、さきに進むことが出来なくなりました。ガイドの者がいうには「これは砂漠の神のご機嫌…

木魚歳時記 第1887話

巨象を計る 或る国の王のところに天神(てんじん)が現れ、王に対して「あなたが所有する象の重さを知っているか」と尋ねました。もしわからないようなら、国王の地位も、国の運命も、七日のうちに無くなるでしょう。」と告げました。困り果てた王は臣下とも…

木魚歳時記 第1886話

雪山童子 男が修行に努めていました。そこに鬼が現れ、その男に、修行の極意となる「諸行無常」(しょぎょうむじょう)「是生滅法」(ぜしょうめっぽう)の偈(げ)文を教えてくれました。ところで修行の男は、その二つの偈文につづきのあることに気づきまし…

木魚歳時記 第1885話

浮気 仲のよい夫婦が住んでいました。或る時、夫は妻に地下の甕(かめ)から葡萄酒(ぶどうしゅ)を酌(く)んで来るようにいいました。そこで妻は地下に下り、甕の蓋を開けたところ、中に美しい女が隠れているではありませんか。驚いた妻は、夫が女を甕の中…

木魚歳時記 第1884話

ケシの実 突然に息子を亡くした若い母親がいました。母親はどうしても息子のことをあきらめることができず、日夜、泣き暮れ泣き明かしていました。が、それでもどうしようもなくなくなり、ボサツさまのところにやってきたのです。「どんなことでもいたします…

木魚歳時記 第1883話

貧者の一灯 老婆が独りで住んでいました。或る時、その村にボサツさまがやって来られることになりました。そこで村のみんなは、ボサツさまが使われる灯明の油を寄進することを考えつきました。貧(まず)しい老婆もなけなしの銭(ぜに)をはたいてわずかな灯…

木魚歳時記 第1882話

無常(むじょう) 王舎城の近くに、蓮華という美人が住んでいました。或る日「やがて美貌は衰えるにちがいない。」そのように考えた蓮華は、釈尊(しゃくそん)の弟子となろうと決意し、釈尊のところに出かけることにしました。ところが、途中、池のところで…

木魚歳時記 第1881話

無我(むが) 或る処に怠け者の男がいました。男は、今日も仕事に就くことなく、池のほとりをぶらぶらとしていました。ところで、男がふと池の底に目をやると、黄金にひかるモノがあります「しめた、これは池の底に黄金が沈んでいるにちがいない」。そう考え…

木魚歳時記 第1880話

オウムの話 大風が吹き、そして樹が擦(こす)れて、森が大火事となりました。鳥や獣はうろたえ逃げ惑うだけでした。ところが、一羽のオウムが猛火をくぐり抜け、近くの池から、水をクチに含み火にそそぎ消火に努めました。鳥や獣たちは「そんなことをしても…

木魚歳時記 第1879話

猿の王 或るところに、猿の王がいました。猿の王はいつも「なんでも自分に出来ないことはない」と自慢しておりました。それは月夜の晩のことでした。猿の王が古井戸を覗いたところ、底に月が映っていました。それを見た猿の王は「月が井戸に落ちた。助け出さ…

木魚歳時記 第1878話

欲深の猿 欲の深い猿が棲んでいました。その猿は今日も、たくさんの木の実を抱え込んで、木の上で、誰にも邪魔されないように食べておりました。ところがふとしたはずみに、木の実の一粒がこぼれて地面に落ちてしまったのです。欲張りの猿は地面に落ちた木の…

木魚歳時記 第1877話

鴻(おおとり)と亀 古池に、鴻(おおとり)と亀が棲んでいました。とろで、日照がつづき、亀の食料となる藻類が古池に不足してきました。そこで、亀は鴻(おおとり)に頼んで、藻類がまだ豊富にある大池に連れてもらうことにしました。或る日、鴻(おおとり…

木魚歳時記 第1876話

共命鳥(ぐみょうちょう) あるところに、共命鳥(ぐみょうちょう)といって、一身二頭、つまり、一つの胴体に頭が二つある鳥が棲んでいました。ところで、この共命鳥の一方のクチバシは、いつも美味しい果実を見つけて食べることが出来るので満足しておりま…

木魚歳時記 第1875話

鵜(う)の真似をするカラス 沼のほとりに一羽のカラスが棲んでいました。ところで、おなじ沼には鵜(う)も棲んでいました。そして、毎日、沼に潜って魚をつかまえていました。それを見ていたカラスは「鵜(う)の家来(けらい)になれば魚にありつけるかも…

木魚歳時記 第1874話

出会い 南の海に一匹の亀が棲んでいました。この亀は百年に一度、南の海に流れつくと伝えられる香木とめぐり会うことが願いでした。さて、その日はいつもと違い北風が強く大海原は荒れ模様でした。しかし亀は、あきらめることなく香木を求めて泳ぎつづけまし…

木魚歳時記 第1873話

おかしな蛇 おかしな蛇がいました。というのは、ヘビの頭の部分は「俺(頭の部分)こそ蛇の本体である」と主張していました。一方、ヘビの尾の部分は「俺(尾の部分)こそ蛇の本体である」と主張して譲りませんでした。或るとき、この蛇が木から下りる時のこ…

木魚歳時記 第1872話

猿の王 猿の王が、山中を歩いていると悲鳴が聞こえました。見ると一人の男が苦しんでいるではありませんか。そこで猿の王は、その男を背負い里まで連れて下りました。疲れ果てた猿の王はそこで寝込んでしまいました。いっぽう、すっかり元気になった男は、寝…

木魚歳時記 第1871話

リスの夫婦 仲の良いリスの夫婦がいました。秋になり木の実が熟れたので、夫婦は、巣のそばにある木の空(うろ)に、木の実を蓄えることにいたしました。やがて、空(うろ)は木の実でいっぱいとなり夫婦は満足でした。ところが、間もなく旱(ひでり)がやっ…

木魚歳時記 第1870話

賢い鵞鳥(がちょう) 檻(おり)の中で、人間に食われるために沢山の鵞鳥が飼われていました。鵞鳥が檻(おり)のスキマから外に出ないように、もし、出たとしても飛べないように羽根は刈り込まれていました。或る鵞鳥は考えました。丸々と肥えた鵞鳥から消…

木魚歳時記 第1869話

ワニと猿の王 或る日、樹の上で昼寝をしている猿の王を見て、池に棲むワニが急に猿の肝(きも)が喰いたくなりました。そこでワニは、猿の王に「むこう岸に熟れたマンゴーの実がありますよ、私がつれていってあげましょう」と猿の王を誘いました。猿の王を背…