2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

木魚歳時記 第3111話

「今日のことば」 くるみの梢を、栗鼠がぴよんととんでゐました。 「おい、りす、やまねこがここを通らなかつたかい。」 するとりすは、「やまねこなら、けさまだくらいうちに 馬車でみなみの方へ飛んで行きましたよ。」 (宮沢賢治「どんぐりと山猫」)9 「…

木魚歳時記 第3110話

「今日のことば」 「おい、きのこ、やまねこが、ここを通らなかつたかい。」 するときのこは「やまねこなら けさはやく 南の方に 飛んで行きましたよ。」 (宮沢賢治「どんぐりと山猫」)8 「ボクの細道]好きな俳句(858) 橋本美代子さん。「わが金魚死せ…

木魚歳時記 第3109話

「今日のことば」 ぶなの木の下に、 たくさんな白いきのこが、どつてこどつてこと、 変な楽隊をやつてゐました。 (宮沢賢治「どんぐりと山猫」)7 「ボクの細道]好きな俳句(857) 上田五千石さん。「けふのことけふに終らぬ日傘捲く」(五千石) 「今日も…

木魚歳時記 第3108話

「今日のことば」 「おいおい、笛ふき、 やまねこがここを通らなかつたかい。」 滝がぴーぴー答へました。 「やまねこなら、さつき、馬車で、西の方へ 飛んで行きましたよ。」 (宮沢賢治「どんぐりと山猫」)6 「ボクの細道]好きな俳句(856) 石田波郷さ…

木魚歳時記 第3107話

「今日のことば」 栗の木はちよつとしずかになつて、 「やまねこなら、けさはやく、 馬車でひがしの方へ飛んで行きましたよ。」 と答えました。 (宮沢賢治「どんぐりと山猫」)5 「ボクの細道]好きな俳句(855) 山口誓子さん。「夏草に汽罐車の車輪来て止…

木魚歳時記 第3106話

「今日のことば」 一郎は栗の木をみあげて、 「栗の木、栗の木、やまねこが ここを通らなかつたかい。」 とききました。 (宮沢賢治「どんぐりと山猫」)4 「ボクの細道]好きな俳句(854) 大木あまりさん。「わが死後は空蝉守になりたしよ」(あまり) 「…

木魚歳時記 第3105話

「今日のことば」 すきとほつた風がざあと吹くと、 栗の木はぱらぱらと 実をおとしました。 (宮沢賢治「どんぐりと山猫」)3 「ボクの細道]好きな俳句(853) 藤田湘子さん。「朝顔を蒔くべきところ猫通る」(湘子) 「人が種まきゃ鴉がほじくる」とは違い…

木魚歳時記 第3104話

「今日のことば」 山猫のにやあとした顔や、 そのめんだうだといふ 裁判のけしきなどを考えて、 おそくまでねむれませんでした。 (宮沢賢治「どんぐりと山猫」)2 「ボクの細道]好きな俳句(852) 飯島晴子さん。「泉辺の家消えさうな子を産んで」(晴子)…

木魚歳時記 第3103話

「今日のことば」 かねた一郎さま 九月十九日 あなたは、ごきげんよろしいほで、けつこうです。 あした、めんどなさいばんしますから、おいでん なさい。とびどぐもたないでくなさい。やま猫 拝 (宮沢賢治「どんぐりと山猫」)1 「ボクの細道]好きな俳句…

木魚歳時記 第3102話

「今日のことば」 (猟犬が飛び込み) 「わん、わん、ぐわあ。」 「にやあお、くわあ、ごろごろ。」 家はけむりのやうに消えました。 (宮沢賢治「注文の多い料理店」)11 「ボクの細道]好きな俳句(851) 安住 敦さん。「でで虫や父の記憶はみな貧し」(敦…

木魚歳時記 第3101話

「今日のことば」 (壁にナイフの形が・・) 「いや、わざわざご苦労です。 大へん結構にできました。 さあさあおなかにおはいりください。」 (宮沢賢治「注文の多い料理店」)10 「ボクの細道]好きな俳句(850) 深見けん二さん。「夕闇の既に牡丹の中に…

木魚歳時記 第3100話

「今日のことば」 (扉の裏に) 「いろいろと注文が多くて うるさかったでせう。お気の毒でした。 もうこれだけです。どうかからだの中に、 壺の中の塩をたくさん よくもみ込んでください。」 (宮沢賢治「注文の多い料理店」)9 「ボクの細道]好きな俳句…

木魚歳時記 第3099話

「今日のことば」 (扉に) 「料理はもうすぐできます。 十五分とお待たせはいたしません。 すぐたべられます。 早くあなたの頭に瓶の中の香水を よく振りかけてください。」 (宮沢賢治「注文の多い料理店」)8 「ボクの細道]好きな俳句(849) 藤田湘子…

木魚歳時記 第3098話

「今日のことば」 (扉をあけると) 「クリームをよく 塗りましたか、 耳にもよく塗りましたか。」 (宮沢賢治「注文の多い料理店」)7 「ボクの細道]好きな俳句(848) 石田郷子さん。「来ることの嬉しき燕きたりけり」(郷子) 郷子さんの作品が続きます…

木魚歳時記 第3097話

「今日のことば」 (壺がありました) 「壺のなかのクリームを 顔や手にすっかり 塗ってください。」 (宮沢賢治「注文の多い料理店」)6 「ボクの細道]好きな俳句(847) 石田郷子さん。「鹿の瞳の濡れてをりたる若葉かな」(郷子) 郷子さんの作品が続き…

木魚歳時記 第3096話

「今日のことば」 (扉の内側に) 「ネクタイピン、カフスボタン、 眼鏡(めがね)、財布、その他金物類、 ことに尖ったものは、みんな こゝに置いてください。」 (宮沢賢治「注文の多い料理店」)5 「ボクの細道]好きな俳句(846) 石田郷子さん。「春潮…

木魚歳時記 第3095話

「今日のことば」 (黒い扉がありました) 「どうか帽子と外套(がいとう)と 靴をおとりください。」 (宮沢賢治「注文の多い料理店」)4 「ボクの細道]好きな俳句(846) 阿波野青さん。「ささみだれのあまだればかり浮御堂」(青畝) 滋賀県堅田の浮御…

木魚歳時記 第3094話

「今日のことば」 「(扉の内側に)鉄砲の弾丸(たま)を こゝへ置いてください。」 (宮沢賢治「注文の多い料理店」)3 「ボクの細道]好きな俳句(845) 中原道夫さん。「週刊新潮けふ発売の土筆かな」(道夫) 「文春砲」の標的が「土筆」(つくし)であ…

木魚歳時記 第3093話

「今日のことば」 「(山猫亭入口)お客さまがた、 ここで髪をきちんとして、 それからはきものの 泥を落としてください。」 (宮沢賢治「注文の多い料理店」)2 「ボクの細道]好きな俳句(844) 富安風生さん。「勝負せずして七十九年老の春」(風生) ふ…

木魚歳時記 第3092話

「今日のことば」 風がどうと吹いてきて、 草はざわざわ、 木の葉はかさかさ、 水はごとんごとんと 鳴りました。 (宮沢賢治「注文の多い料理店」)1 「ボクの細道]好きな俳句(843) 藤田湘子さん。「逢ひにゆく八十八夜の雨の坂」(湘子) まず「逢ひに…

木魚歳時記 第3091話

「今日のことば」 庭のなか(6) 林檎の木(向かい側の梨の木に)一お前さんの梨さ、 その梨、その梨・・お前さんのその梨だよ。 あたしがこさえたいのは。 (ルナール『博物誌』) 「ボクの細道]好きな俳句(843) 井上菜摘子さん。「ゆふやけの端をめく…

木魚歳時記 第3090話

「今日のことば」 庭のなか(5) アスパラガス一あたしの小指に訊(き)けば、 なんでもわかるわ。 (ルナール『博物誌』) 「ボクの細道]好きな俳句(843) 井上菜摘子さん。「蜘蛛の囲のうらがはにゐて聞き洩らす」(句集『さくらがい』) 蜘蛛は、蜘蛛…

木魚歳時記 第3089話

「今日のことば」 庭のなか(4) 分葱(わけぎ)一くせえなあ! 大蒜(にんにく)一きっと、また石竹(せきちく)のやつだ。 (ルナール『博物誌』) 「ボクの細道]好きな俳句(843) 井上菜摘子さん。「花栗が四方になだれ逃げだせぬ」(句集『さくらがい…

木魚歳時記 第3088話

「今日のことば」 庭のなか(3) 薔薇一まあ、なんてひどい風・・! 添え木一わしが付いている。 (ルナール『博物誌』) 「ボクの細道]好きな俳句(843) 井上菜摘子さん。「桃の種飛ばしこれから起ること」(句集『さくらがい』) この作者は、時折、読…

木魚歳時記 第3087話

「今日のことば」 庭のなか(2) 木苺一なぜ薔薇には棘(とげ)があるんだろう。 薔薇の花なんて、食べられやしないわ。 生簀(いけす)の鯉―うまこという。だから、俺も、 人が食やがったら骨を立ててやるんだ。 薊(あざみ)一そうねえ、だけど、それじゃ…

木魚歳時記 第3086話

「今日のことば」 庭のなか(1) 薔薇の花一あんた、あたしを綺麗(きれい)だと思って・・? 黄蜂(くまばち)一下の方を見せなくっちゃ・・。 薔薇の花一おはいりよ。 (ルナール『博物誌』) 「ボクの細道]好きな俳句(842) 井上菜摘子さん(夏季)。…

木魚歳時記 第3085話

「今日のことば」 鴉(からす)「なんだ(コア)? なんだ(コア)? なんだ(コア)?」 「なんでもない」 (ルナール『博物誌』) 「ボクの細道]好きな俳句(841) 能村登四郎さん。「行く春を死でしめくくる人ひとり」(登四郎) 能村登四郎さんは、以前…

木魚歳時記 第3084話

「今日のことば」 くろ鶫(つむぎ) 樫鳥(かけす)―「のべつ黒装束で、見苦しいやつだ、くろ鶫って!」 くろ鶫―「群長閣下、わたくしはこれしか着るものがないのです!」 (ルナール『博物誌』) 「ボクの細道]好きな俳句(840) 寺山修司さん。「アカハタ…

木魚歳時記 第3083話

「今日のことば」 鵲(かささぎ) 鵲―「カカカカカカ・・」 蛙―「何を言ってやがるんだ、あの女(あま)は」 鵲―「歌をうたってるのよ」 蛙―「ゲェッ!」 土竜(もぐら)―「静かにしろい、やい、上のやつ、 仕事をしているのが聞こえやしねえ」 (ルナール『…

木魚歳時記 第3082話

「今日のことば」 あぶら虫 鍵穴のように、黒く、ぺしゃんこだ。 (ルナール『博物誌』) 「ボクの細道]好きな俳句(838) 石田郷子さん。「梅干すといふことひとつひとつかな」(郷子) 農家の作業とは、大方、そうした手順の繰り返しでありましょう。農耕…