2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

木魚歳時記 第1988話

(ブログ筆者より) 以上で、バラモンのヴァッサカーラとゴータマ・ブッダ(釈尊)の問答は終わります。この問答を終えたとき、ヴァッサカーラはブッダに帰依(きえ)し、ブッダの弟子となったと伝えられています。 さて、次は、初期仏教で「慈しみの経」と…

木魚歳時記 第1987話

(釈尊は答えた)前回に続き釈尊は説かれます。「世の中にはこのような破滅のあることを考察して、賢者・すぐれた人は真理を見て幸せな世界を体得する。」(スッタニパータ) 古代インド在来の<創造と破壊>の神々が、仏教に取り込まれ<慈悲>の守護神に変…

木魚歳時記 第1986話

(釈尊は答えた)「クシャトリア(王族)に生まれた人が、財力が少ないのに欲望が大きくて、この世で王位を得ようと欲するならば、これは破滅への門である。」(スッタニパータ) ゴータマ・シッダルタ(釈尊幼少時の名)は、29歳のとき、家族も、王位の継…

木魚歳時記 第1985話

(ヴァッサカーラは問う)「よくわかりました。おっしゃるとおりです。これが第十一の破滅です。先生! 第十二のものを説いて下さい。破滅への門は何ですか?」(スッタニパータ) 次に「地蔵尊」について。地蔵尊は明らかに「神」ではありません。菩薩(ぼ…

木魚歳時記 第1984話

(釈尊は答えた)「酒肉に荒(すさ)み、財を浪費する女、またこのような男に、実権を託(たく)すならば、これは破滅への門である。」(スッタニパータ) 次に「不動明王」(ふどうみょうおう)について。不動明王は、上記、述べて来た「神」とはいささか内…

木魚歳時記 第1983話

(ヴァッサカーラは問う)「よくわかりました。おっしゃるとおりです。これが第十の破滅です。先生! 第十一のものを説いて下さい。破滅への門は何ですか?」(スッタニパータ) 次に「鬼子母神」(きしぼじん)について。鬼子母神は、古代インド在来の母神…

木魚歳時記 第1982話

(釈尊は答えた)「青春を過ぎた男が、ティンバル果のように盛り上がった乳房のある若い女を誘(ひ)き入れて、かの女についての嫉妬(しっと)から夜も眠られない。これは破滅への門である。」(スッタニパータ) 次に「歓喜天」(かんぎてん)について。別…

木魚歳時記 第1981話

(ヴァッサカーラは問う)「よくわかりました。おっしゃるとおりです。これが第九の破滅です。先生! 第十のものを説いて下さい。破滅への門は何ですか?」(スッタニパータ) 次に「摩利支天」(まりしてん)について。摩利支天はバラモン教に登場する神で…

木魚歳時記 第1980話

(釈尊は答えた)「おのが妻に満足せず、遊女に交わり、他人の妻に交わる。これは破滅への門である。」(スッタニパータ) 次に「大黒天」について。サンスクリット語でマハーカーラと呼ばれます。また、古代インドの物語では、シバ神(自在天)の化身(軍神…

木魚歳時記 第1979話

(ヴァッサカーラは問う)「よくわかりました。おっしゃるとおりです。これが第八の破滅です。先生! 第九のものを説いて下さい。破滅への門は何ですか?」(スッタニパータ) 次に「弁財天」について。古代インドの叙事詩『リグ・ヴェーダ』に登場する女神…

木魚歳時記 第1978話

(釈尊は答えた)「女に溺(おぼ)れ、酒にひたり、賭博(とばく)に耽(ふけ)り、得るにしたがって得たものをその度(たび)ごとに失う人がいる。これは破滅への門である。」(スッタニパータ) つぎに「毘沙門天」(びしゃもんてん)について。ヒンドウー…

木魚歳時記 第1977話

(ヴァッサカーラは問う)「よくわかりました。おっしゃるとおりです。これが第七の破滅です。先生! 第八のものを説いて下さい。破滅への門は何ですか?」(スッタニパータ) 次は「韋駄天」(いだてん)です。バラモン教に登場する、スカンダ(シヴァ神の…

木魚歳時記 第1976話

(釈尊は答えた)「血統を誇(ほこ)り、財産を誇り、しかも己(おの)が親戚(しんせき)を軽蔑(けいべつ)する人がいる。これは破滅への門である。」(スッタニパータ) 次に「自在天」(じざいてん)です。ヒンドウー教・バラモン教に登場する自在天は、…

木魚歳時記 第1975話

(ヴァッサカーラは問う)「よくわかりました。おっしゃるとおりです。これが第六の破滅です。先生! 第七のものを説いて下さい。破滅への門は何ですか?」(スッタニパータ) 最初に「帝釈天」(たいしゃくてん)について。帝釈天はインド最古の聖典『リグ…

木魚歳時記 第1974話

(釈尊は答えた)「おびただしい富あり、黄金あり、食物ある人が、ひとりおいしいものを食べるならば、これは破滅への門である。」(スッタニパータ) 以上、ヒンドゥー教・バラモン教と原始仏教とのかかわりにつて述べて来ました。そこで次回より、古代イン…

木魚歳時記 第1973話

(ヴァッサカーラは問う)「よくわかりました。おっしゃるとおりです。これが第五の破滅です。先生! 第六のものを説いて下さい。破滅への門は何ですか?」(スッタニパータ) ふたたび「道の人」について。前回の記述において、ゴータマ・ブッダ(釈尊)が…

木魚歳時記 第1972話

(釈尊は答えた)「バラモンまたは(道の人)または他の(ものを乞う人)に、嘘をついてだますならば、これは破滅への門である。」(スッタニパータ) 「バラモン」とは、ヴェーダ聖典を奉じ、それに限定された祭りを行う者のことですまた、上記で「バラモン…

木魚歳時記 第1971話

(ヴァッサカーラは問う)「よくわかりました。おっしゃるとおりです。これが第四の破滅です。先生! 第五のものを説いて下さい。破滅への門は何ですか?」(スッタニパータ) さて、上記において(広義には)「ヒンドウー教はバラモン教を含む」と述べまし…

木魚歳時記 第1970話

(釈尊は答えた)「みずからは豊かで楽(らく)に暮らしているのに、年老いて衰えた母や父を養わない人がいる、これは破滅への門である」(スッタニパータ) 「バラモン」の呼称は、<四性制度>の最上位にあるバラモン(僧侶)の呼称と同一化されます。また…

木魚歳時記 第1969話

(ヴァッサカーラは問う)「よくわかりました。おっしゃるとおりです。これが第三の破滅です。先生! 第四のものを説いて下さい。破滅への門は何ですか?(スッタニパータ) バラモン教の宗教・文化は、インド土着の諸要素を吸収してバラモン文化圏を形成し…

木魚歳時記 第1968話

(釈尊は答えた)「睡眠の癖(くせ)あり、集会の癖あり、奮励(ふんれい)することなく、怠(おこた)りなまけ、怒りっぽいので名だたる人がいる。これは破滅への門である」(スッタニパータ) 「バラモン教」について。バラモン教は、BC15世紀頃、インド・…

木魚歳時記 第1967話

(ヴァッサカーラは問う)「よくわかりました。おっしゃるとおりです。これが第二の破滅です。先生! 第三のものを説いて下さい。破滅への門は何ですか?(スッタニパータ) しばらくは、釈尊とヴァッサカーラの<真実のことば>で綴られた問答が続きます。…

木魚歳時記 第1966話

(釈尊は答えた)「悪い人々を愛し、善(よ)い人々を愛することなく、悪人の習(なら)いを楽しむ。これは破滅への門である。」(スッタニパータ) 今の、わたしたちの暮らしにも「勧善懲悪」(かんぜんちょうあく)のことばがあります。今から約2500年昔(…

木魚歳時記 第1965話

(ヴァッサカーラは問う)「よくわかりました。おっしゃるとおりです。これ(理法を嫌うこと)が第一の破滅です。先生! 第二のものを説いてください。第二の破滅への門は何ですか?」(スッタニパータ) ヴァッサカーラは、ヒンドゥー教のバラモン(僧侶)…

木魚歳時記 第1964話

(釈尊は答えた)「栄える人を識別することは易(やす)く、破滅を識別することも易い。理法を愛する人は栄え、理法を嫌(きら)う人は敗(やぶ)れる。」(スッタニパータ) 「理法」とは? それを解くことは、釈尊の教え、すなわち、仏教の根本原理を説く…

木魚歳時記 第1963話

「われらは、(破滅する人)のことについてゴータマ(釈尊)におたずねします。破滅への門とは何ですか? 師(釈尊)にそれを聞こうとしてわれらはここに来たのです。」(スッタニパータ) 「われら」とは、バラモン(僧侶)であるヴァッサカーラたちを指し…

木魚歳時記 第1962話

(ブログ筆者より<2>) 以上で、鍛冶工チュンダとゴータマ・ブッダ(釈尊)との問答は終わります。次に、ゴータマ・ブッダ(釈尊)の仏教が興る以前から、古代インドに在来した、ヒンドゥー教(BC16世紀~)のバラモン僧であるヴァッサカーラと、ゴータマ…

木魚歳時記 第1961話

(ブログ筆者より<1>) これまで原始経典『スッタニパータ』を読んできて、気がついたことが二つあります。一つは『スッタニパータ』には、哲学的な難しい思想は述べられていないこと。すなわち、わかりやすい<真実>のことばで満たされていることです。…

木魚歳時記 第1960話

(釈尊は答えた)「道を汚す者とは、善く誓戒(せいかい)を守っているふりをして、ずうずうしくて、家門を汚し、傲慢で、いつわりをたくらみ、自制心なく、おしゃべりで、しかも、まじめそうにふるまう者。これを<道を汚す者>と呼ぶ。(スッタニパータ) …

木魚歳時記 第1959話

(釈尊は答えた)「道によって生きる者とは、理法にかなったことばに生き、自らを制し、落ち着いて咎(とが)のないことばを奉じる人を<道によって生きる者>と呼ぶ。」(スッタニパータ) 「理法にかなったことば」とは、ゴータマ・ブッダ(釈尊)ひとりが…