木魚歳時記 第1879話

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猿の王

 或るところに、猿の王がいました。猿の王はいつも「なんでも自分に出来ないことはない」と自慢しておりました。それは月夜の晩のことでした。猿の王が古井戸を覗いたところ、底に月が映っていました。それを見た猿の王は「月が井戸に落ちた。助け出さないと月が死んでしまう。月がいないと闇夜になってしまう。」そう考えた猿の王は、さっそく家来たちを集めました。「おまえたち、力の強いものから順に、井戸の上の木の枝につかまりなさい。そして、上の猿の足につぎつぎとつかまるのです」。家来の猿たちは、いわれたとおり井戸の底へとぶら下がりました。そして、最後に猿の王が連なり月をつかもうとしたその時です、突然、木の枝が折れて、猿の王も家来たちも底に沈んでしまいました。(『摩訶僧祇律』)

       突然に霰が跳ねて困るのだ 

                  霰(あられ)