木魚歳時記 第1891話

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門番

 或る時。家の主人が召使を呼んで、これから自分は出かけるが「家の門とロバには気をつけるように。」そう注意をしてから出かけてゆきました。ところがしばらくすると、家の近くで大道芸が始まり、楽しそうな音楽が聞こえてくるではありませんか。「あそこなら、大道芸を見ながら門も、門につないだロバの様子見ることが出来る。」そう考えた召使は、すっかり大道芸に夢中になっておりました。ところでその隙(すき)に、家に泥棒が入り大切な財宝などがごっそりと盗まれてしまったのです。しばらくして、家に戻ってきた主人は「お前に門やロバを守れといったのは、財宝を守れといったので、財宝を盗まれ、門やロバだけが残っても何の役にも立たない」。と召使を叱りましたが、すべては<後の祭り>でありました。(『百諭経』)

       悪しきことさつさとやめて雪見酒