木魚歳時記 第1894話

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王の衣類

 盗賊がいました。或る日、盗賊は王さまの蔵に忍び込み、宝石をちりばめた立派な衣類を盗み出しました。ところが運悪く王の家来につかまり、王さまの前に連れて行かれたのです。王さまが「どうして盗みに入ったのか」と尋ねましたところ、盗賊は「これらの衣類は、わたしの祖父からもらったもので、盗んだ衣類ではありません。」といいわけをいたしました。王さまは「それなら、今、わたしの目の前で着てごらんなさ。」と盗賊に命じました。もちろん、盗賊は、今まで見たこともない立派な衣類ですから、どのように身に着ければよいものかわるはずがありません。うろたえたあげく、ついに盗に入ったことを自白してしまったということです。(『百喩経』)

       僧院に尾羽末枯れた寒鴉

               末枯(すがれ)=衰える