2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

木魚歳時記 第3173話

「今日のことば」 兎はますますよろこんで、 あゝありがたや、山猫さま。 おかげでわたくしは 脚(あし)がなくなって もう歩かなくても よくなりました。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)14 「ボクの細道」好きな俳句(922) 波多野爽波さん。「暗幕にぶら…

木魚歳時記 第3172話

「今日のことば」 (狸は) はいはい、かじります かじります なまねこなまねこ。 と云ひながら 兎のあとあしを むにゃむにゃ 食べました。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)13 「ボクの細道」好きな俳句(921) 中村汀女さん。「青桐や母屋は常にひつそりと…

木魚歳時記 第3171話

「今日のことば」 狸もそら涙を ポロポロこぼして なまねこ、なまねこ、 こんどは兎の脚(あし)を かじれとは あんまりはねるためで ございましょうか。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)12 「ボクの細道」好きな俳句(920) 宇多喜代子さん。「浮いているだ…

木魚歳時記 第3170話

「今日のことば」 (兎は狸に) 助かりますなら 耳の二つやそこらは なんでもございませぬ。 なまねこ。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)11 「ボクの細道」好きな俳句(919) 正木ゆう子さん。「死を遠き祭りのごとく蝉しぐれ」(ゆう子) ゆう子さんの兄(…

木魚歳時記 第3169話

「今日のことば」 なまねこ、なまねこ、 あゝありがたい、山猫さま。 私のやうなつまらないものを 耳のことまでご心配くださいますとは ありがたことでございます。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)10 「ボクの細道」好きな俳句(918) 藤田湘子さん。「あめ…

木魚歳時記 第3168話

「今日のことば」 (狸は) たうたう 兎の両方の耳を たべてしまいました。兎も さうきいてゐると、 たいへんうれしくて ポロポロ涙をこぼして 云ひました。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)9 「ボクの細道」好きな俳句(917) 桂 信子さん。「女ざかりとい…

木魚歳時記 第3167話

「今日のことば」 おまへ(兎)の耳が あんまり大きいのでそれを わし(狸)に齧って 直せといふのはなんといふ ありがたいことぢゃ。 なまねこ。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)8 「ボクの細道」好きな俳句(916) 右城暮石さん。「蜘蛛の圍に蜂大穴をあ…

木魚歳時記 第3166話

「今日のことば」 狸はむにゃむにゃ 兎の耳をかみながら、 「なまねこ、なまねこ、 世の中のことはな、 みんな山猫さまの おぼしめしのとほりぢゃ。」 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)7 「ボクの細道」好きな俳句(915) 岡本 眸さん。「毛虫の季節エレベー…

木魚歳時記 第3165話

「今日のことば」 兎はびっくりして叫びました。 「あ痛っ。狸さん。 ひどいぢゃありませんか。」 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)6 「ボクの細道」好きな俳句(914) 小川軽舟さん。「牛冷すホース一本暴れをり」(軽舟) 暑い盛り、牛たちの体を冷やすこ…

木魚歳時記 第3164話

「今日のことば」 (狸が) 「なまねこ、なまねこ、 みんな山猫さまの おぼしめしどほりになるのぢゃ。 なまねこ。なまねこ。」と云ひながら 兎の耳をかじりました。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)5 「ボクの細道」好きな俳句(913) 伊丹三樹彦さん。「…

木魚歳時記 第3163話

「今日のことば」 兎も一緒に念猫(ねんねこ)を となえはじめました。 「なまねこ、なまねこ、なまねこ。」 狸は兎の手をとって もっと自分の方へ引きよせました。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)4 「ボクの細道」好きな俳句(912) 石田波郷さん。「まく…

木魚歳時記 第3162話

「今日のことば」 (狸が) さうぢゃ。みんな往生ぢゃ。 山猫大明神さまの おぼしめしどほりぢゃ。 な。なまねこ。なまねこ。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)3 「ボクの細道」好きな俳句(911) 山口誓子さん。「ががんぼの必死に交む一夜きり」(誓子) …

木魚歳時記 第3161話

「今日のことば」 狸さま。かうひもじくては 全く仕方がございません。 もう死ぬだけです。 兎がきもののえりを 掻(か)き合わせて云ひました。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)2 「ボクの細道」好きな俳句(910) 福永鳴風さん。「百日紅男は背中より老ゆ…

木魚歳時記 第3160話

「今日のことば」 狸はわざと顔を洗はなかったのだ。(中略) (狸は)すっかりお腹が空いて一本の松の木に よりかかって目をつぶつてゐました。 すると兎がやって参いりました。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)1 「ボクの細道」好きな俳句(909) 藤田湘…

木魚歳時記 第3159話

「今日のことば」 (狐の幻燈会) 狐こんこん狐の子、 去年狐のこん助が 焼いた魚を取ろうとし おしりに火がつき きゃんきゃんきゃん。 (宮沢賢治「雪渡り」)17 おわり 「ボクの細道」好きな俳句(908) 高田風人子さん。「年老いし蟻を見掛けしことのなし…

木魚歳時記 第3158話

「今日のことば」 (狐の幻燈会) 狐こんこん狐の子、 去年狐のこん兵衛が 左の足をわなに入れ こんこんばたばた こんこんこん。 (宮沢賢治「雪渡り」)16 「ボクの細道」好きな俳句(907) 広瀬直人さん。「巣を張つて日の暈に入る女郎蜘蛛」(直人) 小径…

木魚歳時記 第3157話

「今日のことば」 (狐の幻燈会) ひるはカンカン日のひかり よるはツンツン月あかり たとへからだがちぎれても 狐の生徒はそねまない。 (宮沢賢治「雪渡り」)15 「ボクの細道」好きな俳句(906) 飯島晴子さん。「うしろからいぼたのむしと教へらる」(晴…

木魚歳時記 第3156話

「今日のことば」 (狐の幻燈会) ひるはカンカン日のひかり よるはツンツン月あかり たとへこゞえて倒れても 狐の生徒はぬすまない。 (宮沢賢治「雪渡り」)14 「ボクの細道」好きな俳句(905) 寺山修司さん。「影を出ておどろきやすき蟻となる」(修司)…

木魚歳時記 第3155話

「今日のことば」 (狐の幻燈会) ひるはカンカン日のひかり よるはツンツン月あかり たとへからだを さかれても 狐の生徒はうそ云ふな。 (宮沢賢治「雪渡り」)13 「ボクの細道」好きな俳句(904) 飯島晴子さん。「夏鶯さうかさうかと聞いて遣る」(晴子…

木魚歳時記 第3154話

「今日のことば」 (狐の幻燈会) 凍(し)み雪しんこ、堅雪かんこ、 野原のおそばはぽっぽっぽ、 酔ってひょろひょろ清作が 去年、十三ぱいたべた。 (宮沢賢治「雪渡り」)12 「ボクの細道」好きな俳句(903) 寺井谷子さん。「本棚のどこかに悪書大西日」…

木魚歳時記 第3153話

「今日のことば」 (狐の幻燈会) 凍(し)み雪しんこ、堅雪かんこ、 野原のまんじゅうはぽっぽっぽ 酔ってひょろひょろ太右衛門が 去年、三十八たべた。 (宮沢賢治「雪渡り」)11 「ボクの細道」好きな俳句(902) 小笠原和夫さん。「鶏の目の少しずれたる…

木魚歳時記 第3152話

「今日のことば」 (やがて二人は) 堅雪かんこ、凍(し)み雪しんこ と歌ひながら、銀の雪を渡って おうちへ帰りました。 (宮沢賢治「雪渡り」)10 「ボクの細道」好きな俳句(901) 鳥居真里子さん。「噴水の背丈を決める会議かな」(真里子) 現役(大学…

木魚歳時記 第3151話

「今日のことば」 (かん子も歌ひます) 狐こんこん狐の子、 狐の団子は 兎(うさ)のくそ。 (宮沢賢治「雪渡り」)9 「ボクの細道」好きな俳句(900) 八田木枯さん。「外掛けで父を倒せし夏みじか」(木枯) ボクは、親父(師僧)から、このようなこと(…

木魚歳時記 第3150話

「今日のことば」 (狐の子も面白さうに) 四郎はしんこ、かん子はかんこ、 黍(きび)の団子を おれやろか。 (宮沢賢治「雪渡り」)8 「ボクの細道」好きな俳句(899) 八田木枯さん。「麦藁帽妙にふかくて寂しいぞ」(木枯) 農村とかならばともかく、麦…

木魚歳時記 第3149話

「今日のことば」 (四郎は笑って) 狐こんこん、狐の子、 お嫁がいらなきゃ 餅やろか。 (宮沢賢治「雪渡り」)7 「ボクの細道」好きな俳句(898) 高野素十さん。「夏木立一とかたまりに桶狭間」(素十) 信長と今川義元が戦った桶狭間(おけはざま)は、…

木魚歳時記 第3148話

「今日のことば」 (そこで子狐は) 四郎はしんこ、 かん子はかんこ、 おらはお嫁はいらないよ。 (宮沢賢治「雪渡り」)6 「ボクの細道」好きな俳句(897) 大木あまりさん。「わが死後は空蝉守になりたしよ」(あまり) 蝉の「ぬけがら」は、いつまでも枯…

木魚歳時記 第3147話

「今日のことば」 (四郎はそこで) 狐こんこん白狐、 お嫁ほしけりゃ、 とってやろよ。 (宮沢賢治「雪渡り」)5 「ボクの細道」好きな俳句(896) 安住 敦さん。「でで虫や父の記憶はみな貧し」(敦) そのとおりです。厳しい、怖い、ビリビリする。それ…

木魚歳時記 第3146話

「今日のことば」 (すると) 凍(し)み雪しんしん、堅雪かん。 と云ひながら、キシリキシリ雪をふんで 白い狐の子が出て来ました。 (宮沢賢治「雪渡り」)4 「ボクの細道」好きな俳句(895) 鈴木六林男さん。「わが死後の乗換駅の潦」(六林男) 「潦」…

木魚歳時記 第3145話

「今日のことば」 堅雪かんこ、凍(し)み雪しんこ。 狐の子ぁ、嫁ぃほしい、ほしい。と 二人は森へ向いて高く叫びました。 (宮沢賢治「雪渡り」)3 「ボクの細道」好きな俳句(894) 上田五千石さん。「ふだん着の俳句大好き茄子の花」(五千石) テレビ…

木魚歳時記 第3144話

「今日のことば」 堅雪かんこ、凍(し)み雪しんこ。 二人は森の近くまで来ました。大きな柏の木は 枝も埋(うず)まるくらゐ立派な透きとほつた 氷柱(つらら)を下げて重そうに身体を 曲げて居りました。 (宮沢賢治「雪渡り」)2 「ボクの細道」好きな俳…