木魚歳時記 第1872話

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猿の王

 猿の王が、山中を歩いていると悲鳴が聞こえました。見ると一人の男が苦しんでいるではありませんか。そこで猿の王は、その男を背負い里まで連れて下りました。疲れ果てた猿の王はそこで寝込んでしまいました。いっぽう、すっかり元気になった男は、寝込んでいる猿の王を見てとんでもないことを考えつきました。「俺は、今、腹がへっている寝込んでいるこの猿を・・」。頭を砕かれ、意識がうすれゆく中で猿の王は思いました。「自分は猿の王として君臨(くんりん)してきた。しかし、このような男ひとり救えないとはまだまだ修行が足りない」と。この猿の王とは、修行中の釈尊(釈迦)のことでありました。(『比喩経』)

      豆一つ三つ四つ五つ厄払