2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧
「今日のことば」 すばるや参(しん)の星が 緑や橙(だいだい)に ちらちらして 呼吸をするやうに見えた (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)24 「ボクの細道」好きな俳句(952) 石田郷子さん。「砂に手をおいてあたたか秋彼岸」(郷子) 「暑さ寒さも彼岸まで…
「今日のことば」 (それから三日目の晩) まるで氷の玉のやうな月が そらにかかってゐた。 雪は青白く明るく 水は燐光をあげた。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)23 「ボクの細道」好きな俳句(951) 石田郷子さん。「いちにちのをはり露けき火消し壷」(郷…
「今日のことば」 小十郎はがあんと 頭が鳴って まはりいちめんまつ青になった。 それから遠くでかう云ふことばを 聞いた。「おゝ小十郎おまへを 殺すつもりはなかった。」 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)22 「ボクの細道」好きな俳句(950) 石田郷子さん…
「今日のことば」 びしゅといふやうに 鉄砲の音が小十郎に聞こえた ところが熊は少しも 倒れないで嵐のやうに 黒くゆらいでやって来た (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)21 「ボクの細道」好きな俳句(949) 石田郷子さん。「ことごとくやさしくなりて枯れにけ…
「今日のことば」 (うしろに) あの夏に眼をつけて置いた 大きな熊が両足で立って こちらにかかって来たのだ。 小十郎は落ちついて 足をふんばって 鉄砲を構へた。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)20 「ボクの細道」好きな俳句(948) 石田郷子さん。「まだ…
「今日のことば」 小十郎が(山の)頂上でやすんでゐたときだ いきなり犬が火のついたように 吠え出した。 小十郎がびっくりして うしろを見たら (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)19 「ボクの細道」好きな俳句(947) 石田郷子さん。「団栗を拾ひしあとも跼み…
「今日のことば」 小十郎はまつ白な堅雪の上を 白沢の方にのぼって行った。 白沢から峯を一つ越えたところに 一疋(ぴき)の大きなやつが 棲んでゐたのを夏のうちに たづねて置いたのだ。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)18 「ボクの細道」好きな俳句(946)…
「今日のことば」 (小十郎の母は) 何か笑ふか泣くかするやうな 顔つきをした。 子供らはかはるがはる 厩(うまや)の前から顔を出して 「爺ちゃん、早ぐお出や。」 といって笑った。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)17 「ボクの細道」好きな俳句(945) 石…
「今日のことば」 「婆さま、おれも年老(と)ったでばな、 今朝まず生れで水(沢)へ入るの嫌(や) んだよな気するぢや。」すると小十郎の母は その見えないやうな眼をあげて ちょっと小十郎を見て (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)16 「ボクの細道」好きな…
「今日のことば」 (それからしばらくして) 一月のある日のことだった。 小十郎は朝うちを出るとき いままで云ったことのない ことを云った。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)15 「ボクの細道」好きな俳句(943) 片山由美子さん。「照らし合ふことなき星や…
「今日のことば」 小十郎はどきっとしてしまひました。 そばに寄って見ましたらちゃんと この前の熊が口からいっぱい 血を吐いて倒れてゐた。 小十郎は思はず拝むやうにした。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)14 「ボクの細道」好きな俳句(942) 石田波郷さ…
「今日のことば」 (それから二年たち) ある朝小十郎があんまり 風が烈しくて木もかき根も 倒れたらうと外に出たら(中略) 始終見たことのある赤黒いものが 横になってゐるのでした。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)13 「ボクの細道」好きな俳句(941) …
「今日のことば」 (つづけて熊は) 「二年目にはおれはおまえの 家の前でちゃんと死んでゐてやるから、 毛皮も胃袋もやってしまふから。」 熊はうしろも見ないでゆつくり ゆっくり歩いて行ってしまいました。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)12 「ボクの細…
「今日のことば」 (すると熊は) 「もう二年ばかり待って呉(く)れ、 おれも死ぬのはもうかまわないやうな もんだけれども少しし残した 仕事もあるしたゞ二年だけ 待ってくれ。」 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)11 「ボクの細道」好きな俳句(939) 波多…
「今日のことば」 熊は両手をあげて叫んだ 「おまえは何がほしくておれを 殺すんだ。」(そこで小十郎は) 「あゝおれはお前の毛皮と、 胆(きも)のほかには なんにもいらない。」 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)10 「ボクの細道」好きな俳句(938) 大木…
「今日のことば」 樹の上の熊はしばらくの間 おりて小十郎に飛びかゝろうか そのまゝ射たれてやろうか 思案してゐるらしかったがいきなり 両手を樹からはなしてどたりと 落ちて来たのだ。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)9 「ボクの細道」好きな俳句(937)…
「今日のことば」 (大きな熊が) 猫のやうにせなかを円くして よじ登ってゐるのを見た。 小十郎はすぐ鉄砲をつきつけた。 犬はもう大喜びで木の下に行って 木のまはりを烈しく馳せめぐった。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)8 「ボクの細道」好きな俳句(9…
「今日のことば」 ところがある年の夏にこんなような おかしなことが起こったのだ。 小十郎が谷をばちゃばちゃ渡って 一つの岩にのぼったらいきなり すぐ前の木に大きな大きな熊が (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)7 「ボクの細道」好きな俳句(935) 飯田龍…
「今日のことば」 「熊。おれはてまへを憎くて殺したのではねえんだぞ。 おれも商売ならてめへも射たなけぁならんねえ。(中略) てめへも熊に生まれたのが因縁ならおれもこんな商売が 因縁だ。やい、この次には熊なんぞに生まれるな。」 (宮沢賢治「なめと…
「今日のことば」 小十郎はぴったり落ち着いて樹をたてにして 立ちながら熊の月の輪をめがけてスドンとやるのだった。 すると森までががあっと叫んで熊はどたっと倒れ 赤黒い血をどくどく吐き鼻をくんくん鳴らして 死んでしまふのだった。 (宮沢賢治「なめ…
「今日のことば」 けれども熊もいろいろだから気の烈しいやつなら ごうごう吼えて立ち上がって、犬などはまるで 踏みつぶしさうにしながら小十郎の方へ 両手を出してかかって行く。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)4 「ボクの細道」好きな俳句(932) 佐藤…
「今日のことば」 なめとこ山あたりの熊は小十郎をすきなのだ。 その証拠に熊どもは小十郎がぽちゃぽちゃ谷をこえたり 谷の岸の細い平らないっぱいにあざみなどの生えてゐる ところを通るときはだまって高いところから見送ってゐるのだ。 (宮沢賢治「なめと…
「今日のことば」 だからもう熊はなめとこ山で赤い舌をぺろぺろ吐いて 谷をわたったり熊の子供らがすまふをとっておしまひは ぽかぽか撲(なぐ)りあったりしていることはたしかだ。 熊捕りの名人の淵沢小十郎がそれをかたっぱしから捕ったのだ。 (宮沢賢治…
「今日のことば」 なめとこ山の熊の胆(きも)は 名高いものになってゐる。 腹の痛いのにも利けば傷もなほる。 鉛の湯の入り口に 「なめとこ山の熊の胆(い)あり」といふ 昔からの看板もかかってゐる。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)1 「ボクの細道」好…
「今日のことば」 (兎は) また叫びました。 「みんな 狸にだまされるなよ。」 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)20 おわり 「ボクの細道」好きな俳句(928) 塚原 彩さん。「天国はもう秋ですかお父さん」(彩) 天国はもう秋でしょう。さて、朝ドラ「ひよっ…
「今日のことば」 (狸は) 怒って云ひました。 やかましい。 はやく溶(と)けてしまへ。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)19 「ボクの細道」好きな俳句(927) 神野紗希さん。「右左左右右秋の鳩」(紗希) 暑さがしのぎやすくなると、ますます、鳩の動きが…
「今日のことば」 (兎は) すっかり だまされた。 (狸の)お腹の中は まっくろだ。 あゝくやしい。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)18 「ボクの細道」好きな俳句(926) フジモンさん。「マンモスの滅びた理由ソーダー水」(フジモン) 4チャンネル「プレ…
「今日のことば」 やがて 兎はすっかり なくなってしまいました。 そして 狸のお腹の中で、 云ひました。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)17 「ボクの細道」好きな俳句(925) 塩貝朱千さん。「星とんで人魚の好きな赤ろうそく」(朱千) ここまで発想を飛ば…
「今日のことば」 (兎は)これも仕方は ございませぬ。 なまねこ、なまねこ。 おぼしめしの とほりにいたします。 むにゃむにゃ。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)16 「ボクの細道」好きな俳句(924) 岡本 眸さん。「秋晴の踏切濡らし花屋過ぐ」(眸) 荷…
「今日のことば」 (兎は) あゝありがたいな なまねこ。 (狸は) もうなみだで身体(からだ)も ふやけそうに 泣いたふりをしました。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)15 「ボクの細道」好きな俳句(923) 藺草慶子さん。「学校へ来ない少年秋の蝉」(慶子…