2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

木魚歳時記 第2049話

(勝利の教え)「また、身体が死んで臥(ふ)すときには、膨(ふく)れて、青黒くなり、墓場に棄(す)てられて、親族もこれを顧(かえり)みない。(スッタニパータ) 当時は林の中に死体を捨て去るという葬法が一般的で、墓場、スツーパ(塔)、弔いの儀式…

木魚歳時記 第2048話

(勝利の教え)「また、その頭(頭蓋骨)は空洞であり、脳髄(のうずい)でみちている。しかるに愚(おろ)かな無明(むみょう)に誘われて、身体は清らかなものだとの思いをなす。」(スッタニパータ) 古代インドで脳髄が思考の源との知識は有さないはず?…

木魚歳時記 第2047話

(勝利の教え)「また、その九つの穴からは、つねに不浄物が流れ出る。眼からは目やに、耳からは耳垢(あか)、鼻からは鼻汁、口からは或るときは胆汁を吐き、或る時は痰(たん)を吐く、全身からは汗と垢とを排泄(はいせつ)する。」(スッタニパータ) 「…

木魚歳時記 第2046話

(勝利の教え)「鼻汁、粘液、汗、脂肪、血、関節液、胆汁(たんじゅう)、膏(あぶら)がある。」(スッタニパータ) 上記のように、古代インドではアショ-カ王以前に、すでに人体に関する解剖学的知識はかなり進んでいたようです。さて、その後BC2000年頃…

木魚歳時記 第2045話

(勝利の教え)「身体は腸(ちょう)に充ち、胃に充ち、肝臓の塊(かたまり)、膀胱(ぼうこう)、心臓、肺臓、腎臓、(じんぞう)、脾臓(ひぞう)あり」(スッタニパータ) さて、ゴ-タマ・ブッダの教え、すなわち「仏教」が興(おこ)る以前のインドの宗…

木魚歳時記 第2044話

(勝利の教え)「身体は、骨と筋(すじ)とによってつながれ、深皮(じんぴ)と肉とで塗られ、表皮に覆(おお)われていて、ありのままに見られることがない。」(スッタニパータ) 当然のこと(描写)が続きます。しかし、日頃「わが身を忘れている」ことを…

木魚歳時記 第2043話

(勝利の教え)「或いは歩み、或いは立ち、或いは臥(ふ)し、身を屈(かが)め、或いは伸ばす。これは身体の動作である。」(スッタニパータ) どうしてこんな当然のことが述べられるのか? 『スッタニパータ』(初期仏教)では、こうした日常の動作が詩的…

木魚歳時記 第2042話

(ブログ筆者より) ブッダとアーラヴァカの問答は終わりました。「汝(ゴータマ)が敗れるならば、汝の心臓を裂き、ガンジスの岸に投げ捨てよう!」と激しく迫ったアーラヴァカは、ゴータマの答えに心酔し帰依してゴータマの弟子となります。次に、「勝利に…

木魚歳時記 第2041話

(さらにアーラヴァカはいう)「わたくし(アーラヴァカ)は、村から村へ、町から町へめぐり歩こう。覚った人(ゴータマ)を、また真理のすぐれた所以(ゆえん)を礼拝しつつ。」(スッタニパータ) アーラヴァカもまた、ゴータマに帰依し、ゴータマの弟子と…

木魚歳時記 第2040話

(さらにアーラヴァカはいう)「ああ、目ざめた方(ゴータマ)がおいでになったのは、実はわたくしのためをはかってのことであったのですね。わたくしは今日、何に施与すれば大いなる果報が得られるかということを知りました。」(スッタニパータ) さて、こ…

木魚歳時記 第2039話

(アーラヴァカはいう)「いまやわたくしは、どうして道の人すなわちバラモンどもに広く問う要がありましょうか。わたくしは今日(来世のためになること)を覚り得たのですから。」(スッタニパータ) さて「大乗仏教」を提唱する者とてブッダの跡を踏む者。…

木魚歳時記 第2038話

(さらにゴータマは答えた)「もしもこの世に誠実、自制、施与、耐え忍ぶよりもさらに優(すぐ)れたものがあるならば、他のものも広く学ぶであろう(道の人)すなわちバラモンどもに問え。」(スッタニパータ) 「バラモンどもに問え」とは、古代インド社会…

木魚歳時記 第2037話

(さらにゴータマは答えた)「信仰あり在家の生活を営む人に、誠実、真理、堅固、施与というこれらの四種の徳があれば、かれは来世に至って憂いることがない。」(スッタニパータ) 「真理」の意味は判然といたしません。「来世に至って憂いることがない」と…

木魚歳時記 第2036話

(さらにゴータマは答えた)「適宜(てきぎ)に事をなし、忍耐づよく努力する者は財を得る。誠実をつくして名声を得、何ものかを与えて交友を結ぶ。」(スッタニパータ) 「適宜(てきぎ)に事をなす」とは、場所、時間などを逸することなく手段を講じるとい…

木魚歳時記 第2035話

(ゴータマは答えた)「諸々の尊敬さるべき人が安らぎの理法を信じ、精励し、聡明であって、教えを聞こうと熱望するならば、ついに智慧を得る。」(スッタニパータ) ゴータマ・ブッダ滅後、二百年くらいしてブッダの説かれた「口伝」(口伝え)の内容を長い…

木魚歳時記 第2034話

(アーラヴァカは問う)「人は、如何にして智慧を得るのであろうか? 如何にして財を得るのであろうか? 如何にして名声を得るのであろうか? 如何にして交友を結ぶのであろうか?」(スッタニパータ) ブッダの説法は、出生地の「マガダ語」であったと推察…

木魚歳時記 第2033話

(ゴータマは答えた)「ひとは信仰によって激流を渡り、精励によって海を渡る。勤勉によって苦しみを超え、智慧によって清らかとなる。」(スッタニパータ) 初期仏教では精励・勤勉を勧めていたことがよくわかります。ゴータマ・ブッダは、その後、北インド…

木魚歳時記 第2032話

(アーラヴァカは問う)「ひとはいかにして激流を渡るのであるか? いかにして海を渡るのであるか? いかにして苦しみを超(こ)えるのであるか? いかにして全く清らかとなるのであるか?」(スッタニパータ) さて、ゴータマは成道されてより、ブッダ(覚…

木魚歳時記 第2031話

(ゴータマは答えた)「この世では信仰が人間の富である。徳行(とくぎょう)に篤(あつ)いことは安楽をもたらす。実に真実が味の中の美味である。智慧によって生きるのが最高の生活である。」(スッタニパータ) 「智慧」とは「欲望に執着することで苦が生…

木魚歳時記 第2030話

(アーラヴァカは問う)「この世で人間の最上の富は何か? いかなる善行が安楽をもたらすのか? 実に味の中で美味は何か? どのように生きるのが最上の生活であるというのか?」(スッタニパータ) 「どのように生きるのが最上の生活であるというのか。」つ…

木魚歳時記 第2029話

(ブログ筆者より) 以上で、ゴータマ・ブッダと雪山の神霊および七岳と呼ばれる神霊との問答は終わります。そして二人の神霊はもとより<千の神霊>たちは、ゴータマ・ブッダの教えに帰依(きえあ)し、その弟子となり行動を共にすることになります。さて、…

木魚歳時記 第2028話

(雪山の神霊たちはいう)「われわれ(神霊たち)は、村から村へ、山から山へ、めぐり歩こう。覚った人(ゴータマ)をも、真理のすぐれた所以(ゆえん)をも礼拝しつつ。(スッタニパータ) 初期仏教においても「仏(釈尊)・法(真理・説法)・僧(出家者)…

木魚歳時記 第2027話

(雪山の神霊はいう)「これからの千の神霊どもは、神通力あり、誉(ほまれ)高きものどもであるが、かれら(神霊ども)はすべてあなた(ゴータマ)に帰依(きえ)いたします。あなたはわれらの無上の師であります。(スッタニパータ) 放牧、農耕に従事する…

木魚歳時記 第2026話

(雪山の神霊はいう)「今日われら(神霊たち)は美しい(太陽)を見、美しく晴れた朝に逢い、気持ちよく起き上がった。激流をのり超え、煩悩の汚れのない(覚った人)に見(まみ)えたからである。」(スッタニパータ) 「美しく晴れた朝に逢(あ)い」とは…

木魚歳時記 第2025話

(雪山の神霊はいう)「深い智慧があり、微妙な意義を見、何ものをも有せず、欲の生存にも愛着(あいちゃく)せず、あらゆることがらについて解脱(げだつ)し、天の道を歩みつつあるかの大仙人(ゴータマ)を見よ。」(スッタニパータ) 「欲の生存」とある…

木魚歳時記 第2024話

(ゴータマは答えた)「愛欲の想いを離れ、一切の結び目(束縛)を超(こ)え、歓楽による生存を滅しつくした人、かれ(ゴータマ)は深海のうちに沈むことがない。」(スッタニパータ) さて<初期仏教>すなわち、この『スッタニパータ』に示されるゴータマ…

木魚歳時記 第2023話

(ゴータマは答えた)「常に戒を身に保ち、智慧あり、よく心を統一し、内省し、よく気をつけている人こそが、渡り難い激流を渡り得る。」(スッタニパータ) ここで注目したいのは「智慧あり」のことばです。それでは「智慧あり」とは? それは、前述の「欲…

木魚歳時記 第2022話

(二人の神霊は問う)「この世において誰が激流を渡るのでしょうか? この世において誰が大海を渡るのでしょうか? 支えなく寄る辺のない深い海に入り、誰が沈まないのでしょうか?」(スッタニパータ) ここでいう「激流」「大海」とは、<輪廻転生>への恐…

木魚歳時記 第2021話

(さらにゴータマは答えた)「世間の出離(世の中の苦から解脱)であるこの道(修行)について、われ(ゴータマ)は汝(二人の神霊)に説き示す。このようにするならば、苦しみから解き放たれる。」(スッタニパータ) 六種の苦から離れる<修行>について示…

木魚歳時記 第2020話

(ゴータマは答えた)「世間には五種の欲望の対象があり、意(の対象)が第六であると説き示されている。それらに対する貪欲(とんよく)を離れるならば、すなわち苦しみから解(と)き放たれる。」(スッタニパータ) 具体的に欲望への執着から解き放たれる…