木魚歳時記 第1877話

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鴻(おおとり)と亀

 古池に、鴻(おおとり)と亀が棲んでいました。とろで、日照がつづき、亀の食料となる藻類が古池に不足してきました。そこで、亀は鴻(おおとり)に頼んで、藻類がまだ豊富にある大池に連れてもらうことにしました。或る日、鴻(おおとり)は、大きなクチバシで亀をくわえ、立派な翼(つばさ)をひろげて、大池をめがけて飛んで行きました。ところが、突然、亀が鴻(おおとり)に「鴻さん大池はまだ遠いのかね」と話しかけたのです。すかさず鴻は「亀さんもうすこしだよ」と、うっかり返事をしたものですから、瞬間、亀は鴻(おおとり)のクチバシを離れ、まっさかさまに地上に落ちてしまいました。ボサツさまは、おしゃべりの王のところで、この話をしてお上げになりました。(『旧雑比喩経』)

      雪原をごとごと貨物列車かな