木魚歳時記第4271話

重盛は専ら衆徒と談合して、二人の兵を山に渡さないで、院もしくは、朝廷で衆徒の満足するように処理すると宗徒をなだめて、死刑一等を減じて、流刑ということで衆徒たちを納得させたのも重盛の徳望と平家の権勢とのためであった。(佐藤春夫『極楽から来た…

木魚歳時記第4270話

これは容易ならぬ一大事である。山は今や院の一敵国として現れた。もし山の要求を容れることは、やがて国権をみだすことになる。(佐藤春夫『極楽から来た』)927 箱庭に砂糖で造る礼拝堂 「ボクの細道]好きな俳句(2011) 池田澄子さん。「嘆きとかアイス…

木魚歳時記第4269話

しかし、山では神輿を射て神域を冒し衆徒を殺した二人を禁獄では承知せず、三宝の敵を山に渡せと迫った。山ではこれを私刑にしようとしている。(佐藤春夫『極楽から来た』)926 雷鳴や神は河川をさかのぼる 「ボクの細道]好きな俳句(2010) 池田澄子さん…

木魚歳時記第4268話

それには第一に衆徒の要請を容れることである。是非なく師高を尾張に配流し、神輿に射かけた重盛の郎党二人を禁獄して事に一段落をつけようとした。(佐藤春夫『極楽から来た』)925 天涯にあ。うんと咲きし朴の花 朴(ほう) 「ボクの細道]好きな俳句(200…

木魚歳時記第4267話

神輿を置き去りにするのは衆徒ら最後の切り札的常套(じょうとう)戦法で、これにはいつもみな辟易(へきえき)した。畏(おそ)るべき神輿の取り扱いに粗相があってはならない。これは一刻も早く引き取ってもらわなくては困る。(佐藤春夫『極楽から来た』…

木魚歳時記第4266話

神輿を押し立てて向かい来る衆徒に対して、重盛の軍は善戦した。さんざんに射かけた矢は二、三の僧兵を殺し神輿にも突きささった。この思い切った奮戦に恐れをなした衆徒は得意の白兵戦にも及ばず神輿を二条の路地に捨て、先を争って逃げ去った。(佐藤春夫…

木魚歳時記第4265話

院は平重盛と源頼政とに命じて宮門を固めさせた。頼政が言葉巧みに持ちかけて徒衆を重盛の守る陽明門に向かわせたのはこの時の事である。(佐藤春夫『極楽から来た』)922 老いてなほカンナの赤に嵌りけり 嵌(はま)り 「ボクの細道]好きな俳句(2006) 池…

木魚歳時記第4264話

というのは、この藤原師高は院の寵臣で股肱(ここう)たる西光法師の長子で目代はその弟であったからである。延暦寺は院の処置を不満として山法師どもを繰り出させた。事を好む山法師どもは得たりとばかり、神輿(みこし)をかつぎ出してきらら坂を下った。…

木魚歳時記第4263話

湧泉寺からは本寺延暦寺に訴え出たから、延暦寺はこれを院に院に訴え出て、三宝(さんぼう)を無視する国司と目代との処分を要請したが、院では暴力宗徒を慰撫して、ただ目代藤原師経(もろつね)を備前にに流しただけですまそうとした。(佐藤春夫『極楽か…

木魚歳時記第4262話

相手は国司目代の舎人であった。彼と僧兵とは口論に激した末、僧兵は馬の尾を切り馬の脚をたたき折ったのを見て、舎人は逃げ帰り、国司の兵六百が来て寺に火を放ち焼き払った。僧兵の逆襲に目代は都に逃げ帰った。(佐藤春夫『極楽から来た』)919 炎天を象…

ブログ休止のお知らせ

いつも当ブログをご覧下さってありがとうございます。皆様のご訪問に励まされて、ブログを続けて参りましたが、 しばらくお休みする事に致しました。 また更新を再開する予定ですので、そのときは宜しくお願いします。 追伸:ブログ再開のお知らせ グログ作…

木魚歳時記第4261話

その白山の湧泉寺の湯屋(というのは浴室ではなく、ただ湯を使う屋内の土間か板間らしい)に馬を引きi入れて洗っている者を見て、僧兵がこれを制止し拒むと、相手は逆に国司の権威を説いて制止に応じない。(佐藤春夫『極楽から来た』)918-2 昼寝して夢のつ…

木魚歳時記第4260話 

白山というのは越前、加賀、美濃に跨る名山で、古来神域とされるが、また権現の仏たちを祭る仏寺も多く、それらがみな延暦寺の末寺になっていた。(佐藤春夫『極楽から来た』)917 翡翠のまだかまだかと一眼レフ 翡翠(かわせみ) 「ボクの細道]好きな俳句…

木魚歳時記第4259話

法然がはじめて山に上がって来た翌久安三年の春から夏にかけて僧兵どもが騒いで田舎出の少年法然を驚かした事件があって、その紛争の結果、越前の白山が叡山領となったのを読者はまだ記憶しているだろうか。(佐藤春夫『極楽から来た』)916 掻き氷赤い髪し…

木魚歳時記第4258話

第二十章 白山事件(一)院の方でも平家でも互いに利用し助け合った協調的な数年の頂点が後白川院五十賀であった。それといのも建春門院が有力な紐帯(ちゅうたい)となっていたせいかもしれない。というのは門院の崩去と一しょに、遠く潜在していた疾病が発…

木魚歳時記第4257話

おん恨みはいつ消えるとも見えなかった上皇も三年目には新しい寵妃丹後局を見出し給うたが、天皇のおん悲嘆は消える日もなく宝算二十一でご多病に短いご生涯を終って母后の後を追わせられた。(佐藤春夫『極楽から来た』)914 真夜中にびっしょり汗をかいて…

木魚歳時記第4256話

そればかりか、お気休めにご病気も軽くいよいよ快方とばかり奏上して置いたのが、突然の崩去を聞こし召されて、当年まだ十五のこの君は終日おん臥所(ふしど)にこもらせて泣き暮らし給うばかり、お側近く仕える者どものお励ましに、やっとお気を取り直しあ…

木魚歳時記第4255話

院のおん嘆きもさることであるが、もっとおんいたわしいのは高倉天皇で、身は六波羅の里内裡に平氏の人質のようになって、おん母后のお見舞さえ御意にまかせぬ。清盛は主上を召し上げられるのをあそれて行幸させ奉らないのである。(佐藤春夫『極楽から来た…

木魚歳時記第4254話

この邦綱というのは院の側近ではあるが、また清盛のお太鼓持ちを兼ねて、疑えば清盛の院に潜入させたスパイかとも思える人物である。(佐藤春夫『極楽から来た』)911 ひまわりのどこまでのびるかわからない「ボクの細道]好きな俳句(1996) 池田澄子さん。…

木魚歳時記第4253話

思えば二十年はただ一夢で、近年、安芸の海に、また熊野の山に、有馬の浴泉に、むさぼるかのように歓を尽くしたのも、ただ今日の思い出の悲しみを深めるあったかと、上皇のおん恨みは日増しに深くなるばかりで、お膳さえも召し上がらない始末であると側近の…

木魚歳時記第4252話

そうして七月八日崩去され、お年は三十五歳であらせた。春の日の花やかにお元気なお姿はまだ人々の眼底にありながら、女院は既に世に在(おわ)さぬのである。 女院はかねて仏法に深く帰依されて蓮華王院のわきに法華三昧堂を建てて居られたのが崩去の後に完…

木魚歳時記第4251話

女院は既にまた起(た)たぬ身を自覚されたものか、女院号と、それに付随したさまざまな特典とをことごとく拝辞し、今はただ一介の女子として戒を受け、覚悟の程を示された。(佐藤春夫『極楽から来た』)908 山頂は極楽のごと風涼し 「ボクの細道]好きな俳…

木魚歳時記第4250話

占いによって灸冶(きゅうじ)の可否をきめたり、蛭(ひる)に吸わせたり、化膿下したのを針でつっ突いたり、おぼつかなくももどかしい治療の手を尽くしたり、千僧の読経などの末に、それでも腫瘍の方は幾分ご快方のように見えたのに食欲の不振は、ご体力の…

木魚歳時記第4249話

それが五十日ばかり後に御発病があった。この玉のような女体は何か情熱よりも悪質な細菌の巣になったものらしい。全身の淋巴線(りんぱせん)が次々と腫れて治療の手もつけられない。(佐藤春夫『極楽から来た』)906 夏障子ひらきたちまち鳥の声 「ボクの細…

木魚歳時記第4248話

そうしておん賀のめで。たく終わった時には特に使いを出してこの時の上卿(委員長)であった院の別当中宮大夫隆季にその労をねぎらうほどの行きとどいたお心づかいもあった。(佐藤春夫『極楽から来た』)905 打ち水を草木にあげる何べんも 「ボクの細道]好…

木魚歳時記第4247話

第三日にはお召し替えあらせて、唐衣、表はもえ黄色で、青のむら濃(濃淡ある染め方)に色々な糸で丸く図案化された薔薇(ばら)を縫い取り、裳のひもはすおう色むら濃、打ち衣は紅のむら濃という豪華けんらんに会衆一同の目をそばだたせたものであった。(…

木魚歳時記第4246話

(五)建春門院はおん賀の第一日には紅の薄様(うすよう・上方濃く下を次第に淡くぼかしたあけぼの染め)のお召しものに、白い五重織り一かさねの唐衣(からぎぬ・大陸風仕立てで当年の婦人宮廷正装)に裳(も)のひもは赤地の錦で、それぞれに金銀の紋用(…

木魚歳時記第4245話

清盛からは重盛の取次で中宮に道風筆の『古今集』を奉り、院からはこの賀に対する一族の尽力を多とする陰宣にそえて御使は白銀の箱に金百両を西八条の清盛別邸にとどけさせた。 七日は雨天、人々はおん賀三日間の晴天を慶賀した。(佐藤春夫『極楽から来た』…

木魚歳時記第4244話

第三日の六日は、地下(じげ)の人々も多少加わって、半ば儀式、半ば遊楽の、賜餐や管弦歌舞に暮れた。当日は人々が立ち替って「青海波」(せいかいは)を舞ったが、これまた維盛が最上位とあって、父重盛は場所柄も忘れてうれし涙を流していた。(佐藤春夫…

木魚歳時記第4243話

女房たちの船は御前の汀(なぎさ)に停めて置いて、ほかに遊びもがなとまりを取り出した蹴まりにも飽きてこれを納めたところで、船中の管弦はあたりにひびきただようていた。月のない庭の暗さに随身たちはかがり火をたいてこの日の遊びは終わった。(佐藤春…