出会い
南の海に一匹の亀が棲んでいました。この亀は百年に一度、南の海に流れつくと伝えられる香木とめぐり会うことが願いでした。さて、その日はいつもと違い北風が強く大海原は荒れ模様でした。しかし亀は、あきらめることなく香木を求めて泳ぎつづけました。そして、やがて、大海原を進む亀は、待ちに待ったかぐわしい香木の香に気がつきました。亀は、その香りをたよりに、ひたすら香木にたどり着くまで泳ぎつづけました。そして、ついに、探し求めた香木とめぐり会うことができたのです。ボサツさまは「仏教の教えと出会うこともそのようなものだ」。と王のところで話してお上げになられました。(『中阿含経』)