巨象を計る
或る国の王のところに天神(てんじん)が現れ、王に対して「あなたが所有する象の重さを知っているか」と尋ねました。もしわからないようなら、国王の地位も、国の運命も、七日のうちに無くなるでしょう。」と告げました。困り果てた王は臣下とも相談しましたが、巨像の重さを計る妙案など浮かぶはずがありません。そこでボサツさまに相談することになりました。話を聞かれたボサツさまは、王に教えてお上げになりました。「まず、象を空(から)の舟に乗せなさい。そして舟が象の重さで沈んだ分、つまり、吃水(きっすい)の沈みを計りなさい。つぎに象の代わりに石ころを乗せるのです。そして、舟が象を乗せたのとおなじ吃水まで沈めば、石ころをすべて陸に移しなさい。それから石ころの総量を計れば、像の体重とおなじになるはずです。」ボサツさまはそういって去っていかれました。(『雑宝蔵経』)
埋火の跳ねてあかあか東慶寺
天神=古代インドのバラモン教の神 東慶寺=鎌倉の縁切寺・駆込寺