2014-01-04から1日間の記事一覧

木魚歳時記 第1200話

瓢箪寺 福勝寺(ふくしょうじ)の門は、節分の日に、年に一度しか開かれないということじゃ。その日がくると、信者たちは門をくぐりぬけてお目当ての<ひょうたん>のお守りを授かるということじゃ。昔。弘法大師を唐より持ち帰ったという、「如意珠宝」(に…

木魚歳時記 第1199話

鎮宅さん 閑臥庵(かんがあん)の鎮宅像(ちんたくぞう)、つまり、鎮宅霊符神(ちんたくれいふしん)は、生保年間に貴船の奥の院から、黄檗山(おうばくさん)の僧によって、この地に移されたそうな。鎮宅像(ちんたくぞう)は、九星(きゅうせい)をつかさ…

木魚歳時記 第1198話

蟹満寺 昔、三人の娘をもつ夫婦が住んでいた。或る日、末娘が道で蟹をざるいっぱいに入れた村人と出合ったのじゃ。「その蟹さんをどうするの」とたずねると「今夜のおかずにするんじゃ」。そこで娘はなけなしのお金を払って、蟹を買い取り草むらに逃がしてあ…

木魚歳時記 第1197話

清閑寺 昔、清水寺のそばに青閑寺(せいかんじ)という寺があった。この寺に真燕(しんえん)という修行僧がおった。或る日、真燕さんが歩いていると、向うから一人の女の人がやってきたそうな。白くすき通るような肌と、長い髪をしたそれは美しい女(ひと)…

木魚歳時記 第1196話

西雲院 浄土宗金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)の山内に西雲院(さいうんいん)がある。この寺に、長さ二メ-トルばかりの黄色味をおびた石が置かれてあるがのう、これを紫雲石(しうんせき)と呼ぶそうじゃ。昔、承安五年に、比叡山を下りた法然上人とい…

木魚歳時記 第1195話

十輪寺 西山にある十輪寺(じゅりんじ)の本尊は、腹帯地蔵尊(はらおびじぞうそん)と呼ばれているそうな。文徳天皇が世継ぎを祈願されて清和天皇が誕生されたところからそう呼ばれている。また、十輪寺には、在原業平(ありひらのなりひら)が晩年に住み、…

木魚歳時記 第1194話

相国寺 昔、相国寺(そうこくじ)に一匹の狐が棲んでいたそうな。この狐は誰にでも化けて驚かすのが好きで、人を化かしてはおもしろがっていたそうな。或る日のこと、相国寺で千家のお茶会がひらかれたときのことじゃ。例の狐は、千家茶道の大家、千宗旦(せ…

木魚歳時記 第1193話

常照寺 昔、遊郭(ゆうかく)のあったころの話じゃ。島原の吉野大夫(たいう)といえばだれ知らぬ者のないほどの評判の花魁(おいらん)であったそうな。その吉野大夫は、大勢の誘い話があっても、ただ一人をのぞいては心をよせなんだそうじゃ。 それは、ほ…

木魚歳時記 第1192話

祇王寺 昔、京に祇王(ぎおう)、祇女(ぎじょ)という美しい姉妹がおったそうじゃ。評判を聞いた清盛(きょもり)に召しかかえられなに不自由のない暮らしをしておった。ところが、清盛は、仏(ほとけ)という舞姫と出会い、すっかり仏(ほとけ)にこ心をう…

木魚歳時記 第1191話

南禅寺 昔、南禅寺(なんぜんじ)の山門に石川五右衛門(いしかわごえもん)という大盗人(おおぬすと)が住んでおった。付近の大名屋敷や富豪を襲っては金品をまきあげ、大泥棒の名を天下に轟かせておったそうじゃ。ところが、そのころ伏見城におった関白秀…

木魚歳時記 第1190話

恋塚寺 昔、遠藤盛遠(えんどうもりとう)という荒くれ武士がおった。その盛遠(もちとう)が、渡辺渡(わたなべわたる)という若武者の妻、袈裟(けさ)に横恋慕(よこれんぼ)してのう、自分の妻になれと迫ったそうじゃ。困りはてた袈裟(けさ)は、「私を…

木魚歳時記 第1189話

随心院 昔、小野小町(おののこまち)というたいそうに美しい歌人がおったそうな。その小町に深草少将(ふかくさのしょうしょう)という武将が惚れてのう、「百夜通えばあなたのものになりましょう」。という小町のことばに、深草から山科まで、五キロの夜道…

木魚歳時記 第1188話

寂光院 昔、壇ノ浦の戦いで平家方が負けたとき、建礼門院(けんれいもんいん)さまは、我が子、安徳天皇と海に身を投じなさったそうじゃ。ところが、幸か不幸か、建礼門院さまだけは源氏方の手で救い出されたのじゃ。その後、建礼門院さまは尼となってのう、…

木魚歳時記 第1187話

鞍馬寺 昔、峰延(ほうえん)という偉い坊さんがおられた。上人が鞍馬寺で修業をされていたときのことじゃ。或る日、突然に大蛇があらわれて上人を一呑みにしようと襲いかかってきたそうな。そこで上人は大蛇にむかって「殺生の戒める」教えを説かれたのじゃ…

木魚歳時記 第1186話

賀茂神社 大昔、まだ神と人間たちが仲良くくらしていた頃のことじゃ。タケツヌミノミコトの姫が、賀茂川のほとりに坐っていたところ、上流から真っ赤な矢が流れてきたそうじゃ。姫は、その矢を手に取って遊んでいたところ、やがて姫は身ごもり玉のような赤ち…

木魚歳時記 第1185話

高山寺 高山寺には、本尊の子安地蔵尊の名代(みょうだい)としての、高さ三メートルもある大きな地蔵さんが立ってござる。 足利八代将軍義政の時代のことじゃ。義政の正室であった日野とみこひのとみこ)はのう、どうしても、世継ぎの男児が欲しいと考えて…

木魚歳時記 第1184話

仁和寺 昔、仁和寺(にんなじ)の近くにある田畑が、夜になると荒らされることが起きたそうじゃ。そこで、見張っていたところ、一頭の馬が現れ、畑の中を走りまわると、明け方に仁和寺の方に消えたそうじゃ。 そこで、仁和寺の和尚にそのことを話すと「寺に…

木魚歳時記 第1183話

清水寺 昔、坂上田村磨(さかのうえたむらまろ)という偉い将軍さまがおってのう、あるとき、東山山麓の音羽山(おとはやま)で鹿狩をしておったそうじゃ。そこへ延鎮(えんちん)という坊主が出てきてのう「生きものをあわれむように」と観音さまの教えを説…

木魚歳時記 第1182話

釈迦堂 嵯峨の清涼寺(せいりょうじ)の本尊さまは、三国(インド・中国・日本)伝来の秘仏だそうな。なんでも、ご本尊さまは、栴檀(せんだん)の香木で刻まれた釈迦像(しゃかぞう)だそうな。 本尊さまは、お釈迦(しゃか)三十七歳のときのお姿を刻んだ…

木魚歳時記 第1181話

だるま寺 立つたり、寝たり、あお向け、うつぶせ・・などなど、一万数千体の、達磨大師(だるまだいし)像が、寺のあちらこちらに坐ってござる。法輪寺(ほうりんじ)先代の後藤伊山和尚が、「失敗しても起き上がれ」「失意の人はみんな来い」インド、中国、…

木魚歳時記 第1180話

大黒さん 妙円寺(みょうえんじ)は、八月十六日の「妙法」(みょうほう)の送り火で名高い、松ヶ崎にある日蓮宗(にちれんしゅう)の寺じゃ。このあたりは、旧松ヶ崎村といわれる日蓮宗信者の村落じゃった。このあたりは<松ヶ崎の大黒天>として信仰を集め…

木魚歳時記 第1179話

六道さん 珍皇寺(ちんこうじ)のある「六道の辻」あたりは、昔から、この世とあの世の分かれ道と信じられていたそうな。また「あの世とこの世を行き来することができる」場所とも信じられていたそうな。 昔、小野篁(おののたかむら)という、偉い学者がい…

木魚歳時記 第1178話

丈六さん 泉涌寺(せんにゅうじ)の総門をくぐると、丈六(じょうろく)の釈迦を安置した戒光院(かいこういん)がある。身の丈が、約五・五メートルとか。そんなこんなで、昔から、大きな仏像のことを<丈六さん>と呼ぶそうな。 この釈迦如来(しゃかにょら…

木魚歳時記 第1177話

本因坊 江戸時代から続く囲碁(いご)の本因坊(ほんいんぼう)の<タイトル>は、そのルーツが、寂光寺(じゃっこうじ)にあるそうな。なるほど、寂光寺の門をくぐると「第一代本因坊報恩塔」の大きな石碑が目につく。 昔、寂光寺には、本因坊という塔頭(…

木魚歳時記 第1176話

蛸薬師 京の繁華街のド真ん中に、妙心寺(みょうしんじ)という寺があるがのう。昔、この寺の住職の母親が病気になり、好物の、「蛸(たこ)が食べたい」と、いいだしたのじゃ。「坊主(ぼうず)が魚を買うのは・・」住職はためらったが、蛸(たこ)を買って…

木魚歳時記 第1175話

鳴虎 堀川寺の内を東に行くと、報恩寺という寺があるがのう。この寺には虎の絵を描いた屏風があるそうじゃ。なんでも、中国の有名な絵描きが描いたものだそうな。 これがあまり上手に描かれていてのう。いまにも動きそうな、という噂が立ってしまったのじゃ…

木魚歳時記 第1174話

猿寺 昔、円譽(えんよ)という偉いお坊さまがおられた。心のやさしいお方でのう、お坊さまが、山の中で修行(しゅぎょう)をされていたとき、猿や狐にナムアミダブツと書いた紙切れを与え、いつも手を合わすように説いておられたそうじゃ。 或るときのこと…

木魚歳時記 第1173話

釘抜さん 昔、上長者町のあたりに紀伊国屋道林という長者が住んでいた。 ところで、或る日のことじゃ、長者の手が急に痛み出してのう、止まらない・・ そこで、弘法大師が刻まれて、痛み治療にご利益(りやく)があるという、石像寺のお地蔵さんに、お詣りす…

木魚歳時記 第1172話

猫寺 称念寺の和尚は猫が好きでのう、 貧乏寺ぢゃったが、子猫を飼っておった。ところがこの子猫が、わるさ好きでのう、或る日のことじゃ、和尚は、虫のいどころが悪かったのか、悪さのすぎる子猫を追い出してしもうたのじゃ。 ところが、その夜のことじゃ、…

木魚歳時記 第1171話

濡髪堂 知恩院が造られたときのことじゃ。 本堂に童子(わらし)が坐っておってのう、「自分は、昔からここに棲んでいる白狐じゃが、 お寺ができて棲家がなくなり困っています」 といったそうな。それを聞いたお坊さんたちは、お寺の裏山に白狐の棲家を つく…