木魚歳時記 第1198話

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蟹満寺

 昔、三人の娘をもつ夫婦が住んでいた。或る日、末娘が道で蟹をざるいっぱいに入れた村人と出合ったのじゃ。「その蟹さんをどうするの」とたずねると「今夜のおかずにするんじゃ」。そこで娘はなけなしのお金を払って、蟹を買い取り草むらに逃がしてあげたそうじゃ。或る日のことじゃ、こんどは、父親が蛙を呑もうとしている大蛇を見つけ「娘の一人を嫁にあげるから、蛙を逃がしてやってくれ」そういって、蛙を助けてあげあた。その晩、大蛇が家にやってきて「約束どうり娘を渡せと」と迫った。すると、そこに数千万という蟹がやってきて大蛇に群がり戦ったそうじゃ。大蛇も、沢山の蟹も死んでしまった。そこで父親は蟹満寺(かにまんじ)を建て、大蛇と蟹の供養をつづけたそうじゃ。
蟹満寺:JP奈良線玉水下車

      独生独死独去独来燕反る