木魚歳時記 第1174話

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猿寺

 昔、円譽(えんよ)という偉いお坊さまがおられた。心のやさしいお方でのう、お坊さまが、山の中で修行(しゅぎょう)をされていたとき、猿や狐にナムアミダブツと書いた紙切れを与え、いつも手を合わすように説いておられたそうじゃ。
 或るときのことじゃ。猟師(りょうし)が山で猿を射ようとした。ところが猿は、手を合わせて何か紙切れを落としたのじゃ。猟師(りょうし)がそれを見ると、「ナムアミダブツ・正行院円譽(しょうぎょういんえんよ)」と書いてあるではないか。驚いた猟師(りょうし)はその猿を逃がしてやると、その足で、円譽(えんよ)さまのところにかけつけて弟子となったそうじゃ。やがてこの話が伝わり、正行院(しょうぎょういん)は、猿寺(さるでら)と呼ばれるようになったそうな。
正行院:東洞院塩小路下がる

      猿猿猿顔顔顔や子どもの日