木魚歳時記 第1176話

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蛸薬師

 京の繁華街のド真ん中に、妙心寺(みょうしんじ)という寺があるがのう。昔、この寺の住職の母親が病気になり、好物の、
「蛸(たこ)が食べたい」と、いいだしたのじゃ。「坊主(ぼうず)が魚を買うのは・・」
住職はためらったが、蛸(たこ)を買って、持ち帰ったそうな。これを見た人が怪しみ、「箱をあけて見せよ」と迫まった。住職は、しかたなく箱を開けたところ、八本足のタコが、法華経(ほけきょう)八巻に変っていたそうじゃ。驚いた住職は、さっそく、この経文(きょうもん)をお唱えすると、母親の病気は、たちどころに治ったということじゃ。
 以来、妙心寺(みょうしんじ)は、「蛸薬師(たこやくし)さん」と呼ばれ親しまれているそうな。
妙心寺:新京極蛸薬師

     いまそこで鵺の子どもとすれちがふ