木魚歳時記 第1194話

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相国寺

 昔、相国寺(そうこくじ)に一匹の狐が棲んでいたそうな。この狐は誰にでも化けて驚かすのが好きで、人を化かしてはおもしろがっていたそうな。或る日のこと、相国寺で千家のお茶会がひらかれたときのことじゃ。例の狐は、千家茶道の大家、千宗旦(せんそうたん)に化けてみごとなお点前(てまえ)を見せたそうじゃ。ところが、そのとき、一匹の犬が紛れ込んできてのう、宗旦(そうたん)に化けた狐に咆えかけたそうじゃ。するとどうじゃ宗旦(そうたん)のお尻から尻尾がスルスルと出てきて、狐の姿に戻り逃げていったということじゃ。この愛嬌のある狐はみんなから可愛がられて暮らしておったそうじゃ。宗旦狐はのう、相国寺に今でも宗旦稲荷(そうたんいなり)として残っているそうじゃ。
相国寺:市営バス同志社前下車

      あの話つつんでしまひ袋掛