木魚歳時記 第1175話

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鳴虎

 堀川寺の内を東に行くと、報恩寺という寺があるがのう。この寺には虎の絵を描いた屏風があるそうじゃ。なんでも、中国の有名な絵描きが描いたものだそうな。 これがあまり上手に描かれていてのう。いまにも動きそうな、という噂が立ってしまったのじゃ。 
 ところで、そのころ聚楽第(じゅらくだい)に居た秀吉がこの話を聞いてのう、むりやりに、聚楽第に持ち帰ったそうじゃ。ところが夜なると、おどろおどろしい虎の声が響いてくるではないか・・ 「虎が寺に帰りたくなって鳴いている」。そう考えた秀吉は虎の絵を寺に返したそうじゃ。 以来、この絵は「鳴き虎の図」と呼ばれ、報恩寺で大切に保存されているそうな。
報恩寺:堀川寺之内東入る

     蚤虱おつとどつこい生きてやる