木魚歳時記 第1191話

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南禅寺

 昔、南禅寺(なんぜんじ)の山門に石川五右衛門(いしかわごえもん)という大盗人(おおぬすと)が住んでおった。付近の大名屋敷や富豪を襲っては金品をまきあげ、大泥棒の名を天下に轟かせておったそうじゃ。ところが、そのころ伏見城におった関白秀吉の寝所に忍び込んだところを家臣に取り押さえられ、三条河原で釜茹での刑に処せられることになった。
じゃが、さすが天下の大泥棒、釜茹でになりながらも、わが子の五郎市を頭上に支えあげながら、「浜の真砂は尽きるとも、世に盗人の種は尽きまじ」というたとか。しかし、五右衛門が「絶景かな絶景かな」といった南禅寺の山門は、五右衛門が死んでから、30年あまりも後に立てられたものじゃ。
南禅寺:市営地下鉄蹴上下車

      奪衣婆の閨に袖ふる五月忌