木魚歳時記 第1190話

f:id:mokugyo-sin:20140104041046j:plain

恋塚寺

 昔、遠藤盛遠(えんどうもりとう)という荒くれ武士がおった。その盛遠(もちとう)が、渡辺渡(わたなべわたる)という若武者の妻、袈裟(けさ)に横恋慕(よこれんぼ)してのう、自分の妻になれと迫ったそうじゃ。困りはてた袈裟(けさ)は、「私を妻にしたければ、渡るの首を打ってからにしてください、今夜は酒に酔って眠りこんでいますから」。いわれた盛遠は暗闇で渡の首を首を打ち取り、晒しにくるんで持ち帰ったそうじゃ。ところが帰って、首をあらためたところ、それは袈裟(けさ)の首であったそうじゃ。悔い改めた盛遠は出家して、袈裟(けさ)の供養に明け暮れたそうじゃ。恋塚寺(こいつかてら)には、袈裟御前と度(わたる)の像が祀られている。
恋塚寺:近鉄京都線丹波橋下車

     核心に触れず無口に枇杷すゝる