木魚歳時記 第1173話

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釘抜さん

 昔、上長者町のあたりに紀伊国屋道林という長者が住んでいた。  ところで、或る日のことじゃ、長者の手が急に痛み出してのう、止まらない・・ 
 そこで、弘法大師が刻まれて、痛み治療にご利益(りやく)があるという、石像寺のお地蔵さんに、お詣りすることにしたのじゃ。 長者は日参を欠かさなかったそうじゃ。 すると、満願の夜に、長者の夢枕に地蔵尊が現れて、 「汝(なんじ)、前世に、知らずに悪いことを重ね、八寸の釘を打たれたり。我、いまそれを抜きとれり」 と、二本の釘を取り出して示されたということじゃ。 明くる朝、長者は目が覚めると、手の痛みは嘘のように消えていたそうな。 それから、石像寺は京の「釘抜さん」と呼ばれ、 親しまれているそうな。
石像寺:千本今出川上る

     見たいもの蛇いま衣を脱ぐところ