2014-01-06から1日間の記事一覧

木魚歳時記 第1350話

子盗る 「こーとろ 子とろ どの子がほしい これか これか それや」 童謡には「怖い」歌もたくさんあります。前述の「花いちもんめ」も、子取(盗)り歌でありました。この「子盗り歌」にしても、シリアスに考える必要はまったくありません。しかし、ぼくが子…

木魚歳時記 第1349話

椅子どっせ おすわりやす 椅子どっせ あんまり乗ったら こけまっせ これは「押し合い遊び」の歌です。椅子に腰掛けている子どもの膝の上に、歌いながらどんどん座ってゆきます。いちばん下の子がこらえきれなくなって悲鳴をあげるまでつづけます。さて、俳句…

木魚歳時記 第1348話

逃げた 二条の西洞院 人形屋の二階に にわとり二羽いて 西向いて逃げた これも「早口ことば」の遊びとして歌われたものでしょう。なんともユーモラスひびきの歌です。さて、俳句における省略です。書かなくとも読者が想像できるかどうか?そのことをよく考え…

木魚歳時記 第1347話

粉ひくまい 高野の弘法大師 この子抱いて粉ひて この子の目に粉がはいって こんどからこの子抱いて 粉ひくまい これは「早口ことば」の遊びに歌われたものです。早口ことばには舌を噛みそうなのが沢山ありますが、これなどまことに生活に結びついたほのぼの…

木魚歳時記 第1346話

大丸丁稚 とんとん どなた 大丸丁稚 いまごろなにしに ござった 雪駄かわって かえにきた あんたの鼻緒は なに鼻緒 黒と白とのねじ鼻緒 そんな鼻緒はございません 京都では、昔、百貨店といえば<大丸さん>を指しました。おっちゃんもおばちゃんも下駄履き…

木魚歳時記 第1345話

ちょいとかくす うちの裏の どら猫が 散髪行って 風呂行って 鏡の前に ちょいとすわり 白粉ぬって 紅ぬって 人に見られて ちょいとかくす 「人に見られてちょいとかくす」のところで、遊んでいた手毬(てまり)をスカートの中にちょいと隠したそうです。昔の…

木魚歳時記 第1344話

豆狸 雨のショボショボ ふる晩に 豆狸が徳利もって 酒買いに 雨がショボショボ ふってきた 狐がコンコン ないてきた ぼくの<おやじ>は、お酒が大好きでした。いつも呑み始めると、三、四時間はざらでした。まさか、ぼくが酒買いに走ることはありませんでし…

木魚歳時記 第1343話

ほおたる ほ ほ ほおたろこい あっちの水は にがいぞ こっちの水は あまいぞ ほ ほ ほおたろこい ぼくが子どもの頃は、近くの川で捕らえてきた蛍を蚊帳(かや)に放して遊んでいました。はやく「お庭に放してあげなさい」。そんな母のことばを思い出します。…

木魚歳時記 第1342話

下駄かくし 下駄かくし チュウネンボ はしりの下の ねずみが ぞうりをくわえて チュッチュクチュ チュッチュクまんじゅは だれが食た だれも食わへん わしが食た チュウネンボとは鼠のことです。また<はしり>」とは、台所にあった<流し>のことです。京都…

木魚歳時記 第1341話

かぼちゃ あんな あんな なんえ あんなのかぼちゃ これは、「からかい歌」でしょう。つまり、あんな、あんな と呼びかけておいて、相手がふり向くと、あんなの かぼちゃ と茶化して楽しむ遊びです。相手が<あんなのかぼちゃ>に引っかかった瞬間を楽しむの…

木魚歳時記 第1340話

どなたがほしい たんす長持 どなたがほしい ○○さんがほしい どうしていくの お嫁さんになっておいで <花いちもんめ>が勝負型なら、これは<物まね型>のわらべ歌です。貰う子を○○さんと名指して、その子にいろんな真似をさせる遊びです。「お嫁さんになっ…

木魚歳時記 第1339話

花いちもんめ 勝ってうれしや 花いちもんめ 負けてくやしき 花いちもんめ 二組に分かれて向かい合い、歌にあわせて、指名された子をうばい合う遊びです。ひとり残らず相手の組に貰われたら遊びは終わりです。ところで、花<いちもんめ>は、花<一文目>なの…

木魚歳時記 第1338話

くさかった 坊さんが へをこいた においだら くさかった なんともいえないリアルなお歌です。前半10音、後半10音、あわせて20音の「数取り歌」です。小学生の頃、かくれんぼう遊びでぼくが鬼になると、この歌をみんなに聞こえるようゆっくりと唱えてか…

木魚歳時記 第1337話

カン坊主 坊さん 坊さん どこいくの あの山越えて お使いに わたしもいっしょに連れてんか お前がくるとじゃまになる カンカン坊主 カン坊主うしろの正面 どなた カンカン坊主とは、鉢(はち)や鉦(かね)を叩いて寒念仏する修行僧のことです。ですから「鉢…

木魚歳時記 第1336話

風の子 こどもは 風の子 じじ ばば 火の子 ぼくの子どもの頃はモノの無い、不自由な暮らしでした。真冬でも素足にズック靴をはいて、鼻水を垂らしながらかけまわっていました。ズック靴の底からジンジンと水が凍みてきた、あの痛いような感覚を今でも覚えて…

木魚歳時記 第1335話

どんど どんどや 左義長 餅のかけ 焼いて食お <どんど>も左義長(さぎちょう)も、俳句における新年の季語です。正月の飾り物を焼く火祭りの行事やお火焚(たき)のことです。その火で鏡餅の<かけら>を焼いて食ったというのです。ぼくの親父は貧乏な家に…

木魚歳時記 第1334話

みやこしよめご ひとめ ふため みやこし よめご いつやの むさし ななやの やつし ここのや とおや 数え歌です。正月になると、女の子たちは、この数え歌を唄いながら追羽根つきをして遊びました。はやしことばの意味は、当時、チンプンカンプン、まったくわ…

木魚歳時記 第1333話

たこ三つ おみやげ三つ たこ三つ あしたのぶんも たこ三つ ことば遊びの部類に入る「わらべ歌」でしょう。ところで、ぼくが子どもの頃は、学校の教科にソロバンの時間がありました。また、女の子たちは、休憩時間になると、楽しそうに「あやとり」遊びをしな…

木魚歳時記 第1332話

だるまさん だるまさん だるまさん にらめっこしましょ 笑たら 負けょ ウントコ ドッコイショ ゲーム機遊びと違い、だるまさん遊びは、全員参加型の遊びでした。みんなが輪になって、わいわいガヤガヤ楽しいものでした。必死で笑うまいと、しかめ面(つら)…

木魚歳時記 第1331話

出へそ あらまかソーダか 石けん粉 でべそに膏薬はったろか 女の子たるもの「おたふく」だのブスだのといわれ負けてはおれません。そんな悪ガキどもに報復したのがこの歌です。ほんとうに<出べそ>であろうとなかろうと、みんなの前で<出べそ>と揶揄(や…

木魚歳時記 第1330話

おたふく おたふく みふく 風が吹いたら よふく これは「からかい歌」でしょう。ただし、どのクラスにもいた、おたふく「余福」のような女の子は、真っ黒で、男子のように活発で、腕力もあり、こんな歌くらいではへこたれません。ですから、ぼくたちは、はや…

木魚歳時記 第1329話

うそ泣き うそ泣きするもん 役者の子 いま泣いたカラスが もう泣きやんだ これも「からかい歌」です。愛情に満ちた「からかい歌」です。昔、欲しい玩具があると、往来に座り込んで、手足バタバタさせて母親に駄々をこねたものです。それでもときおり、母親の…

木魚歳時記 第1328話

まねし万歳 まねしまんざい 米屋のでっち これは「悪口歌」でしょう。なんでも他人(ひと)の真似をする方はいるものです。(もちろん米屋の丁稚は親方の真似をして米俵をかつがないと一人前になれませんが・・)このぼくも、最近、心の師匠(俳句)と仰ぎ尊…

木魚歳時記 第1327話

イン助 イがつくつく インやの インすけ イってイられて イりころされた わらべ歌には「数え歌」「悪口歌」「からかい歌」「尻取り歌」「早口ことば」などがあります。また、ことば遊びのような歌もあります。上記は「からかい歌」でしょう。さて<イン助>…

木魚歳時記 第1326話

痛いのは いらんなら桶 桶はまるい まるいは太鼓 太鼓はひびく ひびくは地震 地震はこわい こわいのはお化け お化けは青い 青いのは松葉 松葉は痛い 痛いのは げんこつ 子どもの頃は、毎日、日の暮れるまで遊んでいました。仲間が、ぼくに<めんこ>をくれる…

木魚歳時記 第1325話

かもてなや ホッチッチ かもてなや おまえの子じゃなし 孫じゃなし 孫になったら かもてんか 京都には「粋」(いき)という言葉があります。この<京の粋>は、言葉を変えると、京都人的<プライド>であるといえます。つまり、明治の「東京遷都(せんと)」…

木魚歳時記 第1324話

わらべ歌 京都の<通り名>を唄った「数え歌」を紹介してきました。そこで次に、おなじみの「わらべ歌」のいくつかを紹介してみたいと思います。わらべ歌の中には、京都発信の<京のわらべ歌>もたくさんあります。そんな中から、ぼくが子どもの頃に、、母親…

木魚歳時記 第1323話

千本 浄福寺通りの一筋西が千本(せんぼん)通りです。北は北区紫野大徳寺町から、南は伏見区納所(のうそ)町までを指します。途中、JR線や中央市場などで中断します。平安京の背骨である朱雀大路(すざくおおじ)に相当します。名称の由来は、永久年間(1…

木魚歳時記 第1322話

浄福寺 智恵光院(ちえこういん)通りの一筋西が浄福寺(じょうふくじ)通りです。北は寺之内(てらのうち)通りの上京区猪熊(いのくま)町から、南は竹屋町通りの上京区主税町までを指します。明治に入るまでは、京都所司代(しょしだい)の下屋敷があった…

木魚歳時記 第1321話

智恵光院 日暮通りの一筋西が智恵光院(ちえこういん)通りです。北は北大路通りの北区紫野上築山町から、南は丸太町通りの上京区主税町までを指します。開通の時期は不明だそうですが、江戸の初期にすでにその名がみえるそうです。名称は、一条上がるにある…