木魚歳時記 第1345話

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ちょいとかくす

 うちの裏の どら猫が 散髪行って 風呂行って 鏡の前に ちょいとすわり 白粉ぬって 紅ぬって 人に見られて ちょいとかくす

 「人に見られてちょいとかくす」のところで、遊んでいた手毬(てまり)をスカートの中にちょいと隠したそうです。昔の遊びはのどかでした。さて、鶏頭が咲いています。散文なら自由にことばを使い、鶏頭の印象や、周囲のことや、自分の感動まで含めて表現を膨らませます。しかし俳句は十七文字です。上記のことを作品の背後に隠して、鶏頭そのものを具体的に詠います。この「寡黙性」「即物性」こそ俳句の特色となります。

     霾ぐもる羅城門址四ツ塚町