2013-12-30から1日間の記事一覧

木魚歳時記 第970話

正しい考え方とは欲にふけらず パーリー語教典群『分別聖諦経』(ふんべつしようたいきょう)にあることばです。仏教の出発点は、欲望にとらわれない正しいものの見方を身につけることです。 息が白く見える季節が終わろうとしています。これからは呼吸をし…

木魚歳時記 第969話

施しても施したという思いを起さず 『大般涅槃経』(だいはつねはんきょう)にあることばです。仏教においては「布施行」(ふせぎょう)を、わたしたちの実践項目の第一番目にあげます。 母親が一枚の着物を愛するわが子に与え、母親が病む子をみて無心に看…

木魚歳時記 第968話

山も川も海もみなうつり変る パーリー語教典群「長老偈註』(ちょうろうげちゅう)にあることばです。宇宙の生成、地球生成のスパーンで眺めるならば、上記のこともうなずくことができます。 釈迦(しゃか)は、『聖求経』(しょうぐきょう)の中で「金や銀…

木魚歳時記 第967話

ひとり生れひとり死ぬ 『無量壽経』(むりょうじゅきょう)にあることばです。「生死を共にする」ということばもありますが、なるほど、人間はひとりで生まれ、ひとりで死んでゆくものです。 ぼくは葬儀(そうぎ)の後で、遺族や参列者に次のような話をしま…

木魚歳時記 第966話

人ははからいから すべてのものに執着する 『蛇喩経』にあることばです。わたしたちは、あれこれと他人の心のうちを憶測(おくそく)して、それに執着(しゅちゃく)するあまり、そのことへの対応を計(はからい)すぎて、自分自身の行動にこだわり悩むこと…

木魚歳時記 第965話

縁によって成り立ち縁にとって変る 『勝髷経』(しょうまんきょう)にあることばです。「雨が降るのも、風の吹くのまも、花野の咲くのも、葉の散るのも、すべて縁(えん)によって生じ、縁(えん)によって滅びる」という意味です。 上記に<つながり>とい…

木魚歳時記 第964話

我は迷いに導くものである 『大般涅槃経』(だいはつねはんきょう)にあることばです。すなわち「我(が)は迷いに導くものであり、仏性(ぶっしょう)はさとりに至らせるものである」とあります。 もちろん、ここにある「我」(が)とは、自分という意味で…

木魚歳時記 第963話

法を灯火とし よりどころとせよ 『長阿含経』(ちょうあがんきょう)のことばです。その意味は、かって航海をするときにはコンパス(北)を用いたように、人生においても「自分と法(仏教)をよりどころとして生きなさい」という教えです。 釈迦(しゃか)は…

木魚歳時記 第962話

花無心招蝶 蝶無心尋花 「花、無心にして蝶(ちょう)を招(まね)き、蝶(ちょう)、無心にして花を尋(たず)ねる」。この良寛禅師(りょうかんぜんじ)の漢詩には続きがあります。「花開時蝶来 蝶来時花開」(花ひらくとき蝶来たり、蝶来る時花ひらく)が…

木魚歳時記 第961話

僧の子の僧になる旅風光る 揚句は内山思考さんの名句です。このたび、ぼくの息子も僧侶の資格を得ることができました。そこでうれしくなって、おもわず上記名句の<盗作>をしてしまいました。 古代インド語であるサンスクリットの<ラーフラ>を音写して羅…

木魚歳時記 第960話

老いゆく身でありながら老いないということ 『増支部教典』(ぞうしぶきょうてん)にあることばです。すなわち「この世において、誰にも出来ないことが五つある。一つには、老いゆく身でありながら、老いないということ。二つには、病(や)む身でありながら…

木魚歳時記 第959話

すべてのものは つながりあって できている 『勝鬘経』(しょうまんきょう)にあることばです。上記のこのことばに続いて「一つの網の目が、それだけで網の目であると考えるならば、大きな誤りである。網の目は、ほかの網の目とかかわりあって、一つの網の目…

木魚歳時記 第958話

月を見る人によって月は異なる 浄土宗を開かれた法然上人(ほうねんしょうにんに「月影の至らぬ里はなけれども 眺がむる人の心にぞ住む」のお歌があります。 『大般涅槃経』(だいはつねはんきょう)に「月はすべての上に現れる。町にも、村にも、山にも、河…

木魚歳時記 第957話

道を求めて進んでゆこう 『四十二章経』(しじゅうにしょうきょう)にあることばです。「道を求めて進んでゆこう」とは、迷いの世界、すなわち、煩悩(ぼんのう)から離れ<さとり>の世界をめざすことです。 伝教大師最澄(でんぎょうだいしさいちょう)は…

木魚歳時記 第956話

青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光 『阿弥陀経』(あみだきょう)にあることばです。お浄土(じょうど)に咲く草花はそれぞれの色で、それぞれに光り輝いています。だからこそ、幸せの国、極楽(ごくらく)浄土と呼ばれるのです。 金子みすずさんの詩に、…

木魚歳時記 第955話

菩薩は布施を行ず 『六十華厳経』(ろくじゅうけごんきょう)にあることばです。仏(ほとけ)への道を求めて修行する菩薩(ぼさつ)は「布施行」(ふせぎょう)を目標とされます。 「布施」(ふせ)とは、自分にできることを、他の人々に限りなく惜しみなく…

木魚歳時記 第954話

修めなければ現われず 『梵網経』(ぼんもうきょう)にあることばです。すなわち「仏性(ぶっしょう)はあっても、修(おさ)めなければ現れず、現われなければ道を成しとげたことにあらず」と説きます。 また『涅槃経』(ねはんきょう)に「すべての生きとし…

木魚歳時記 第953話

心は清く柔らかに 菩薩(ぼさつ)の持つ特色の第一番目を「歓喜地」(かんぎじ)といいます。菩薩の心は清く柔(やわ)らかであるため、なにごとにつけてもそこに光りを見いだし、喜びを見だすことができるからです。 『華厳経』(けごんきょう)に「仏の教…

木魚歳時記 第952話

どんなことも縁によって生ず この世のすべての出来事は縁(えん)によって起こる。この世のすべての出来事は、ある一定の<条件>のもとで成り立っている。 釈迦(しゃか)が悟(さと)りに至られた内容は、この「すべての物事は縁(えん)によって成り立っ…

木魚歳時記 第951話

心を育てよ パーリー語教典群『雙考経』(そうこうきょう)にあることばです。これも簡単そうにみえてつかみどころのない、やっかいなことです。なぜなら、人の心の内がわからないだけでなく、自分の心も意のままにならないからです。 身体(肉体)も、地位…

木魚歳時記 第950話

日は昼を照らし月は夜を照らす 『増阿含経』(ぞうあごんきょう)にあることばです。あたりまえのことですが・・太陽や月がなければ地球は存在いたしません。 仏教に登場する仏(ほとけ)さまも「光明」(こうみょう)の功徳(くどく)を説く仏(ほとけ)さ…

木魚歳時記 第949話

自らその意を浄くせよ 『涅槃経』(ねはんきょう)の「七仏通誡偈」(ななぶつつうかいげ」にあることばです。その意味は「悪いことをせず、良いことをして、自らの意(こころ)を浄(きよ)らかにしましょう」ということです。 「良いことをして、悪いこと…

木魚歳時記 第948話

自利利他の法を行ず 『遺教経』(ゆいきょうぎょう)のことばです。自利(じり)とは、つまり釈迦(しゃか)の教えを守り「さとり」への道を求めて自己を磨き上げることです。 しかし、自身の修行(しゅぎょう)により、自身の「さとり」を求めるだけでいい…

木魚歳時記 第947話

心を以って心を伝う 中国の『景徳伝統録』(けいとくでんとうろく)にあることばです。無言のうちに相手に自分の考えを伝えることで、ふつう以心伝心(いしんでんしん)と読み下して用います。 「心を以って心に伝う」とは、仏教の{さとり」について述べた…

木魚歳時記 第946話

心を開き誠を見わす 『後漢書』(ごかんじょ)にあることばです。心をひらくことは、すなおで謙虚(けんきょ)な気持ちになることです。誠を見(あら)わすとは誠実な人生を歩むことです。 原始教典『スッタニパータ』に、「かくし事をする人は心のよくない…

木魚歳時記 第945話

法を喜ばば臥安く 心悦び心清し 『法句経』(ほっくきょう)にあることばです。法(ほう)、つまり仏教の教えを学ぶことによって、やすらかに臥(ねむる)ことができ。心に悦(よろこ)びが芽生え。すがすがしい気持ちで今日一日がすごせるでしょう。 この世…

木魚歳時記 第944話

機によって法を説く 「機根」(きこん)とは、仏教を聞く人、教えを受ける人々の性格も、知識も、体験も多種多様であるということです。 仏教が説く真理は一つであっても、真理を学ぶ者の環境・条件はさまざまです。ですから、相手によく理解されるためには…

木魚歳時記 第943話

気を配る 仏教で「無財の七施」(むざいのななせ)と教えます。「布施」(ふせ)というとお坊さんさしあげるお布施(ふせ)のことを思い浮かべますが、お金がなくてもできる「布施行」(ふせぎょう)に七種類あります。 ①眼施(げんせ)。やさしく思いやりの…

木魚歳時記 第942話

得がたきは時 会い難きは友 謡曲(ようきょく)「西行桜」(さいぎょうさくら)の一節に、こんなことばがあります。「よい機会はなかなかとらえがたく、よき友にはなかなか出会えない」。 また、釈迦(しゃか)の残されたことばにはこんなのもあります。「過…

木魚歳時記 第941話

独生独死 独去独来 『無量壽経』(むりょうじゅきょう)の中に「人、世間愛欲(せけんあいよく)の中にありて、独(ひと)り生まれ独り死し、独り去(さ)り独り来(きた)る。行(ぎょう)に当(あた)りて苦楽(くらく)の地に趣(おもむ)く。身みずから…