月を見る人によって月は異なる
浄土宗を開かれた法然上人(ほうねんしょうにんに「月影の至らぬ里はなけれども 眺がむる人の心にぞ住む」のお歌があります。
『大般涅槃経』(だいはつねはんきょう)に「月はすべての上に現れる。町にも、村にも、山にも、河にも、池の中にも、甕(かめ)の中にも、葉末(はずえ)の露にも現れる。人が行くこと百里千里であっても、月は常にその人に従う。月そのものに変わりはないが、月を見る人によって月は異なる」とあります。同じものを見ても、それぞれの心その思いが異なるならば、それにしたがって、違った考えや行動が生れることを諭(さとし)たものです。