2014-01-12から1日間の記事一覧

木魚歳時記 第1712話

仏教の根本原理 釈迦は修行されますが、結果、悟りに至らず、菩提樹の下で体を休めておられました。そのとき、村娘スジャータのささげるヨーグルト(乳粥)をお飲みになり、①「諸法無我」(しょほうむが)・「すべてのものはかかわりあう」。②「諸行無常」(…

木魚歳時記 第1711話

万人平等の思想 シッダルタは釈迦となられてから述懐されました「身分階級の最上位の刹帝利種(せっていりしゅ)に生まれた者が、器量小にして王位を望むならばそれは破滅に至るであろう」「人は、生れにより聖者となるのではない。人はその行為により聖者と…

木魚歳時記 第1710話

悟りへの道 シッダルタは29才のとき、王位、妻子などすべてのものを捨て、沙門(しゃもん)すななわち修行者となるために出家(しゅっけ)をされます。この時代の沙門(修行者)の修行方法は大きく分けると二つあります。すなわち、①「禅定」(ぜんじょう…

木魚歳時記 第1709話

大いなる放棄 放棄なくして獲得はない。最高のものを求めめるには一切を捨てねばならない。出家、乞食(こつじき)の生活に入るのは、誰に強いられわけでなく、もろもろの恐れからでもなく、財貨を求めるわけでもない。「生・老・病・死」の悩みを解決するた…

木魚歳時記 第1708話

生老病死 どうして「生」と仏教がかかわり合うのでしょうか?それは、私に両親がなければ「私」は誕生していません。その後も、さまざまな<条件>のかさなり、つまり「ご縁」「出会い」がなければ、今、ここに「私」は居りません。このことは不思議な出来事…

木魚歳時記 第1707話

求不得苦(ぐふとっく) 「四苦八苦」(しくはっく)といいます。仏教では大きく分けると四つ、細分すると八つの「苦」を説きます。「求不得苦」(ぐふとっく)」は「八苦」を総括する「苦」の根本です。それは、本来的に求めようとしても求められないものを…

木魚歳時記 第1706話

出家(しゅっけ)の動機 人間、生まれたからには、老人となり、病を得て、そして死んでゆく。これは、万人平等に訪れる摂理であります。つまり、生まれることは、やがて、死ぬことを意味します。ただし、いつどこで、どのようにして・・これが予測できないだ…

木魚歳時記 第1705話

四門出遊(しもんしゅつゆう) シッダルタがカピラ城(釈迦族の王城)から郊外に出られたときのことです。一日目に東門で老人と出会い。二日目に南門で病人と出会い。三日目に西門で死人と出会い。四日目に北門で沙門(しゃもん)すなわち修行者とお出会にな…

木魚歳時記 第1704話

母との死別 王子シッダルタは、釈迦族の王、父浄飯(じょうぼん)と母摩耶(まや)夫人の長男として生まれます。ところで、当時、釈迦族の周辺は小国がせめぎあう状態にあり、そうした中で将来、国王となることへの期待は、幼いシッダルタに重くのし懸かった…

木魚歳時記 第1703話

摂理(せつり) 釈迦族の王子シッダルタは、父浄飯王(じょうぼんおう)と郊外に出られました。そのとき農夫が畠を耕していると、土の中から一匹の虫が出ました。そこへ鳥が舞い降り、虫をついばんで去りました。それを見たシッダルタは深く考え込んだと伝え…

木魚歳時記 第1702話

蓮と鶏 泥のなかから 蓮が咲く。 それをするのは 蓮じやない。 卵のなかから 鶏がでる。 それをするのは 鶏じやない。 それに私は 気がついた。(金子みすゞ) 『金子みすゞ全集「独楽の実」』より 月天心つきのひかりにてらされて

木魚歳時記 第1701話

雀のかあさん 子供が 小雀 つかまえた。 その子の かあさん 笑ってた。 雀の かあさん それみてた。 お屋根で 鳴かずに それ見てた。(金子みすゞ) 『金子みすゞ全集「空のあちら」』より 小雀は出入自由や鳴子引

木魚歳時記 第1700話

懺悔(さんげ) 昔、インドに鬼子母神(きしぼじん)という邪神(じゃしん)がいて人の子をさらい食う。それを知った釈迦は、千五百人いた鬼子母神の子の一人をお隠しになった。驚いた鬼子母神は狂気の形相で釈迦のところに相談に来た。釈迦は「多くの子ども…

木魚歳時記 第1699話

非暴力 浄土宗を開かれた法然上人(ほうねんしょうにん)の父、漆間時国(うるまのときくに)は、岡山県美作(みまさか)地方の役人でありました。やはり地方役人であった源内武者貞明(げんないむしゃさだあき)の夜討に合い亡くなられます。法然上人九歳の…

木魚歳時記 第1698話

寂滅為楽 寂滅為楽(じゃくめついらく)とは、「いろは歌」の「浅き夢見じ、酔(え)ひもせず」にあたります。生滅するものがなくなり、静まっていることが無上の安らぎであると説きます。つまり、悟りの世界のことであります。雪山童子(釈迦の修行時代)は…

木魚歳時記 第1697話

生滅滅已 生滅滅已(しょうめつめっち)は「いろは歌」の「有為の奥山今日(けふ)越えて」に対比します。有為(うい)とは、煩悩(ぼんのう)つまり「世の中のものは常にうつり変わる」「生じたものは滅していく」という真理に目覚めていない迷いの世界のこ…

木魚歳時記 第1696話

是生滅法 「雪山偈」(せつせんげ)の是生滅法(ぜしょうめっぽう)は「いろは歌」の「我が世誰ぞ常ならむ」にあたります。諸行無常(いろは匂へど散りぬるを)と似た意味です。詩句のリフレイン(反復)だと考えておきましょう。すなわち是生滅法(我が世誰…

木魚歳時記 第1695話

諸行無常 「雪山偈」(せつせんげ)の「雪山」(せつせん)とは雪の蔵(くら)を意味します。つまりヒマラヤ連峰のことです。「偈」(げ)とは詩句(しく)、つまり七五調とか、五七調とかの音律をもった語群のことです。さて「雪山偈」(せつせんげ)にある…

木魚歳時記 第1694話

伊呂波歌 ご承知の 「いろは歌」とは、音(おん)の異なるすべての仮名(かな)を集めて、同じ仮名を重複させずに七五調の四句47文字にまとめた誦詩(じゅし)のことです。作者、成立年代などに定説はないようです。しかし「色は匂へど、散りぬるを、我が…

木魚歳時記 第1693話

雪山童子 雪山(ヒマラヤ)でひとりの童子が修行を続けていた。そこに鬼が現れて、諸行無常(しょぎょうむじょう)「すべてのものはうつり変わる」、是生滅法(ぜしょうめっぽう)「生したものは滅する」のこの二つの真理を教えた。鬼はさらに「おまえを俺に…

木魚歳時記 第1692話

死ぬときは箸置くやうに草の花 小川軽舟 さて 「俳句は何の為に作るのか」。それはわかりません。病気をしてから所属していた句会(四つ)をすべてお休みして一年が過ぎました。自選では「ひとりよがり」になります。気持ちが緩むので句柄も痩せゆきます。で…

木魚歳時記 第1691話

空へゆく階段のなし稲の花 田中裕明 俳句を作るのに、あらかじめ「言いたいこと」を用意する必要はありません。波多野爽波という俳人は「頭をからっぽにして対象と向かいなさい」「私が成功(句作)するとしたら、見るのと言葉とが一緒に出てくるときでしょ…

木魚歳時記 第1690話

蛇のあとしづかに草の立ち直る 邊見京子 俳句を成功させるにはいろんな方法があるでしょう。その最低限必要な要素に、俳句の「型」を身につけることがあります。俳句の「型」とは、定型(五・七・五)、季語、切れ、リズム(韻律)のことです。この「型」を…

木魚歳時記 第1689話

月光(こわ)が怕くて母へ逃げこみぬ 八田木枯 俳句には写生が大切といわれます。作者が見たもの、感動したものを読者に伝えるのではなく、読者に想像(共感)してもらう必要があります。作者は見たものを俳句の言葉にします。読者は作品のわずかな言葉から…

木魚歳時記 第1688話

でゝ虫(はらわた)の腸さむき月夜かな 原 石鼎 「借り物」俳句の十年が夢のように過ぎました。ところで、昨年、肺癌の告知を受けました。これを機会に「借り物」俳句をなんとか卒業したい・・自身の言葉による俳句づくりをめざしたい・・話は別ですが、現在…

木魚歳時記 第1687話

夏の海水兵ひとり紛失す 渡辺白泉 兼題(宿題)はわんさかと出ています、それにふさわしい十二音を探せばいいわけです。ならば、特効薬を見つけてあります。そこで、例の塚本邦雄氏の『うつつゆめもどき』のおでましと相成ります。それをペラペラ繰るうちに…

木魚歳時記 第1686話

蚤しらみ生者に移る月夜かな 真鍋呉夫 俳句の「型」について。「型」とは、季語、定型、リズム、切れ、のことです。そのことは頭では理解できました。しかし実作に応用することは別問題です。すなわち、見て感じたことを俳句にしようとするとまったく「手も…

木魚歳時記 第1685話

子ども失せ天神さまの泉かな 飯島晴子 ともかく「文字」にこだわりました。それこそがむしゃらに十七文字をこしらえました。その大部分は「机上俳句」そのものでした。写生が大切であり、吟行(ぎんこう)が大切であると教えられました。が、外を歩いて一句…

木魚歳時記 第1684話

やはらかき母にぶつかる蚊帳の中 今井 聖 ですから初学の頃は、なんの迷いもなく,文字の選択こそ句作の「いのち」と信じて疑いませんでした。そんなとき、偶然出会った一冊の本があります。それは、当時、前衛派の歌人として高名な塚本邦雄さんの<毒舌いろ…

木魚歳時記 第1683話

酒くれと桜の下の生き仏 前田吐実男 前章(第九話)では、ぼくが俳句を始めた「縁」(えにし)について触れました。そこで、この章(第十話)では、ぼくの句歴。つまり、ぼくの句作の「迷走」ぶりについて触れてみたいと思います。ところで、俳句は五・七・…