2013-12-15から1日間の記事一覧

木魚歳時記 第114話

一隅の びんづるかすめ 風薫る 王子シッダルタ(3) 仏伝によれば、シッダルタは釈迦となられたのち、つぎのように述懐されています。 「刹帝利種(せっていりしゅ・インド身分階級の最上位)の家に生まれ者が、資力(器量)小にして、欲望のみ大きく、この…

木魚歳時記 第113話

春愁の 一山買ひて 独り酒 王子シッダルタ(2) シッダルタは幼少の頃、父浄飯(じょうぼん)王に連れられて農耕祭にでました。ところが、シッタルタが姿を消したので捜してみると、大きな木の下で考えこんでいた。父王が不審に思っておたずねになると、シ…

木魚歳時記 第112話

髭さきに 忍びの虫や 武者人形 王子シッダルタ(1) 幼少時代のシッダルタは、サキャ族の王位を継ぐ者として、なに不自由のない暮らしをされていたようです。 エピソードの二番目です。仏伝によると「比丘(びく)たちよ、わたしがカピラ城にいたころは、春…

木魚歳時記 第111話

天辺を ひそかに狙ふ 葱のぎぼ 釈迦誕生 仏伝によると、釈迦はサキャ族の王、父、シュッドダナ(浄飯・じょうぼん)王と、母、マーヤ(摩耶・まや)夫人の王子としてお生まれになりました。幼名をシッダルタ(目的を完成した者)と名づけられたと伝えらます…

木魚歳時記 第110話

層塔を 薄墨いろに 春の雨 釈迦(しゃか)族 いまから2500年(紀元前5世紀前半)ほど昔、北インド・ヒマラヤの南麓(現在のネパール領カトマンズの付近)に、タラーイという盆地があり、サキャ(釈迦)族という部族が住んでおりました。 この部族の住む…

木魚歳時記 第109話

独尊の ひねもす眠る 日永かな 唯我独尊(ゆいがどくそん) 伝説によれば、釈迦は生れるなり七歩あゆまれ、天と地を指して「天上天下唯我独尊」とおっしゃられた…とあります。生まれるなり自分ほど偉い者はない、おそらくこれは、後世、釈迦を追慕するあまり…

木魚歳時記 第108話

影と影 七変化する 花筏 人間国宝(型絵染)で有名な、芹沢銈介画伯の「法然上人像」を、陶板に焼いて、大本山清浄華院の唱讃導師拝命の記念品にしたくて、画伯のご自宅にまで訪ねたのは46歳のときでした。 * 法爾自然(ほうにじねん)とは、法(物事)<…

木魚歳時記 第107話

そよ風に 御高祖顔する 葱坊主 ぼくの師僧(おやじ)は81歳でお浄土へ召されました。晩年、「勢至丸」さまお飾りした部屋で、白磁のような体になって、お浄土へと旅立ってゆきました。 * 法然上人は、美作・みまさか(岡山県)にお生まれになりました。幼…

木魚歳時記 第106話

爛漫の 一山買ひて 花見酒 匂いすみれから木食さんがでました。さくら爛漫(らんまん)のころ、庭の片隅にある匂いすみれは、きっと木食さん「遊行」(ゆぎょう)の寝床となったのかもしれません。 「大川は 花・小手毬の 二重奏」 * 肉類・五穀を食べず、…

木魚歳時記 第105話

山姥も 二つ食ふなり 桜餅 山姥は、男をたぶらかす<女鬼>と多産系の<山母>の二面性をもって登場します。すなわち「天国と地獄」のシンボルなのです。どこかのウスラ<おやじ>が娘に化けた山姥と遭遇したなら、一発「のるか反るか」の勝負する外ないので…

木魚歳時記 第104話

甘茶かけ 釈迦の跡ふむ ナムの僧 「春だ春だと小鳥がうたう、さくらさくらだ野山は花だ。すみれ、たんぽぽ、れんげそう。花のお屋根が美しい。あまちゃのなかから、ひょっこりと、お出になったお釈迦さま」(小学校唱歌) 「層搭の 暮色にかすむ 花の雨」 *…

木魚歳時記 第103話

葉隠れに 利休つばきの 本音きく 嵯峨小倉山の「百人一首」で有名なニ尊院は、また、法然上人ゆかりの寺でもあります。とりわけ、宅磨法眼作という「法然上人足曳の御影」(重文)は参詣者の心を癒します。 「やぶ椿 蜜盗人の ひとしきり」 * 「ニ尊」(に…

木魚歳時記 第102話

本諸子 金と銀とに 跳ねあがり 湖北を訪れました。世界情勢のように、特産の本諸子も外来魚に押されてむつかしい<局面>を迎えているようです。しかし、個性である金と銀との輝きは失ってほしくありません。 「本諸子 月の雫や 湖に溶く」 * 「阿弥陀仏(…

木魚歳時記 第101話

花灯路 龍馬が駈ける 春の宵 京・伝統工芸の「花灯路」(3月中旬)が催されました。青蓮院から清水寺までの各所に、清水焼、磨き丸太、そして竹製の<あんどん>が灯り、石塀小路に風情を添えました。 「花灯路 香こそにほへと 梅の闇」 * 「もしかしたら…

木魚歳時記 第100話

練行の 炎艶めく 古都の春 この<けむくじゃら>は?そう、これは帝王ペンギンの赤ちゃんです。海遊館でお目にかかってど肝を抜かれました。しかし、これも親子の一風景なのです。 * 「薪は燃えて灰となる。その前後はあったとしても、薪は薪であり、灰は灰…

木魚歳時記 第99話

遠山の 烟るとみえて ぐらり春 『どくとるマンボウ航海記』(北杜夫)でマンボウを知りました。また、海遊館でこの魚をみて、けったいな魚や、でも、これも「いのち」あるもの…と妙に感動しました。 * 「いのち」て何んや?これは難しい問題です。それをロ…

木魚歳時記 第98話

啓蟄や 石に抱きつく 浮気虫 金烏(きんう)は、中国の伝説に登場する鳥で、太陽に棲むといわれます。また、わが国には、三本足を持つ八咫烏(やたがらす)の伝説があります。とかく烏(からす)は、ミステリアスな鳥として登場いたします。 * すいきん・ち…

木魚歳時記 第97話

白魚の への字くの字に 四畳半 広島に△□○という会社があります。けったいな?画数から<みよまる>と読むそうです。命名の理由は、会社の外は屋根(△)、窓(□)、顔(○)がいっぱい…会社と地域の「共存」を考えておられるのです。 * かぎりない多角形は円…