木魚歳時記 第112話

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髭さきに 忍びの虫や 武者人形

王子シッダルタ(1)

 幼少時代のシッダルタは、サキャ族の王位を継ぐ者として、なに不自由のない暮らしをされていたようです。

 エピソードの二番目です。仏伝によると「比丘(びく)たちよ、わたしがカピラ城にいたころは、春・夏・冬に適した三つの宮殿に住んでいた。庭には浴池がもうけられ、青・白・紅の蓮華が咲いていた。わたしの部屋には、栴檀(せんだん)香が焚かれ、わたしの被服(きもの)はみんなカーシー産でそろえられていた。わたしが外出するときは白い傘蓋(かさ)で護られる」。とあります。
 「宮殿の奴隷、下僕、使用人たちが、くず米の飯で炊いた酸っぱい粥を食すのに、自分は温かいご飯とやわらかい肉を食べて贅沢に暮らしている」。シッダルタの思いやりと、優しい一面がうかがえるのです。