一隅の びんづるかすめ 風薫る
王子シッダルタ(3)
仏伝によれば、シッダルタは釈迦となられたのち、つぎのように述懐されています。
「刹帝利種(せっていりしゅ・インド身分階級の最上位)の家に生まれ者が、資力(器量)小にして、欲望のみ大きく、この世において王位を希求するなら、それは破滅にいたる門である」と。また「生まれによりて聖者となるのではない。生まれによりて非聖者となるのではない。人はその行為によりて聖者となるであろう。人はその行為により非聖者となるであろう」と。
当時、身分的差別社会の強かったインドにおいて、<いのち>レベルでの「人間尊重」を貫かれた釈迦の教え、すなわち「仏教」の基本理念が、すでにシッダルタの青年期に芽生えつつあった?と、ぼくはそのように考えます。