木魚歳時記 第101話

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花灯路 龍馬が駈ける 春の宵

 京・伝統工芸の「花灯路」(3月中旬)が催されました。青蓮院から清水寺までの各所に、清水焼、磨き丸太、そして竹製の<あんどん>が灯り、石塀小路に風情を添えました。  「花灯路 香こそにほへと 梅の闇」

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 「もしかしたら、わたしたちは存在しているように思われるだけで、実際にはいないのかもしれない。なにもわたしにはわからない。誰も知りはしない」(チエーホフ・『三人姉妹』)。
 仏教が説く「無我」(むが)とは、この<わたし>を消してしまうことではありません。むしろ<わたし>という存在を誇りとしながら、しかも、世の中「独立自存」の存在などない。すなわち、世の中「持ちつ持たれつ」である。そのことを自覚することが大切です。
 激動の時代を彗星のごとく駈けぬけた龍馬のように、人生を「無心」で駈けぬける自分でありたい…そんな年齢になりました。