木魚歳時記 第108話

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影と影 七変化する 花筏

 人間国宝(型絵染)で有名な、芹沢銈介画伯の「法然上人像」を、陶板に焼いて、大本山清浄華院の唱讃導師拝命の記念品にしたくて、画伯のご自宅にまで訪ねたのは46歳のときでした。

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 法爾自然(ほうにじねん)とは、法(物事)<あるがまま>の状態をいいます。自然(じねん)も、本来的に<そうある>ことですから、両者あいまって「無為自然」(むいしぜん)すなわち「涅槃」(ねはん)の境地であるといえます。「法然」の号は「法爾自然」を縮めたものです。
 法然上人の遺言である『一枚起請文』(いちまいきしょうもん)には、「一文不知の愚鈍の身になして(云々)」とあります。一文不知(いちもんふち)とは、一字も読めず、一字の意味もわからない…という意味です。爾来、庶民の教えを説く浄土宗では「愚者の自覚」を旨とします。
 「智者のふるなひをせずして、ただ一向に念仏すべし」(法然上人)