木魚歳時記 第102話

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本諸子 金と銀とに 跳ねあがり

 湖北を訪れました。世界情勢のように、特産の本諸子も外来魚に押されてむつかしい<局面>を迎えているようです。しかし、個性である金と銀との輝きは失ってほしくありません。   「本諸子 月の雫や 湖に溶く」

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 「阿弥陀仏(あみだぶつ)と十声となえてまどろまむ、長き眠りになりもこそすれ」(法然上人)。こどものころ、師僧(おやじ)の念仏する声と、カンカンやる鉦の音で、また眠りに落ちたのを覚えています。この歳になって、カンカンやると気持ちが落ちつきます。こんなとき脳波を測定すると、やさしい波形を示すことでしょう。
 「いくつかの星が天で光る。いくつかの船が波ととたたかう。ひとり、ひとり、ひとり、ひかる」(フランス童謡)。おやじがぼくにしてくれたように、ぼくが息子にカンカンして伝えなければ…終われない。