2013-12-01から1ヶ月間の記事一覧

木魚歳時記 第940話

水は方円の器にしたがう 源信僧都(げんしんそうず)のことばです。「人の心は水の器(うつわ)に従うごとし、器(うつわ)方(ほう)なれば則(すなわ)ち方(四角)なり。器(うつわ)円(まる)ければ則(すなわ)ち円(まる)し」の意味となります。 心…

木魚歳時記 第939話

仏法はるかにあらず心中にして即ち近し 弘法大師(こうぼうだいし)さまのおことばです。人間はとかく、遠くばかりを探し求めて近くにある真実を見落としがちです。 鎌倉時代に三光国師(さんこうこくし)とい禅僧がおられました。この人に修行者が禅の真髄…

木魚歳時記 第938話

花ひらけば風雨多く人生別離多し 『唐詩選』(とうしせん)のことばです。離別の最たるものは「生れたならば死ぬ」これは真理です。 パスカルは「我々が明日まで生きることは確実でないが、明日まで生きないかも知れないことは確実である」といいました。武…

木魚歳時記 第937話

心の正しい素直な人になろう 『華厳経』(けごんきょう)に「教えを尊(たっと)び心の正しい素直(すなお)な人は、木石(ぼくせき)にも瑠璃(るり)の光りを見るであろう」とあります。 詩人の八木重吉さんは「花はなぜ美しいのか、ひとすじの気持ちで、…

木魚歳時記 第936話

はからいを離れた智慧を持とう 『仏昇刀利天為母説法教』(ぶっしょうとうりてんいぼせっぽうきょう)にあることばです。ここでいう<はからい>とは、三つの煩悩(ぼんのう)、つまり「三毒」(さんどく)を指します。 <むさぼり>と<怒り>と、真理に対…

木魚歳時記 第935話

始め有るものには必ず終わり有り 中国の『楊氏方言』(ようしほうげん)にあることばです。文字どおりに読むと、物事には始めがあれば終わりもある、それでおしまいです。 鴨長明(かものちょうめい)の著した『方丈記』(ほうじょうき)に「行く川の流れは…

木魚歳時記 第934話

正しい教えを聞こう 『大般涅槃経』(だいはつねはんきょう)にあることばです。仏教を正しく聞いて、これを味わい習うことです。仏(ほとけ)の教えを自己の身につけることです。 仏教を正しく聞くとは、仏教の専門的な<ことば>を覚えことではありません…

木魚歳時記 第933話

志ある者は事ついに成る 『後漢書』(ごかんじょ)にあることばです。やり遂げようとの志(こころざし)があれば大事業といえどもついに成(な)しとげることができる。 仏道修行(ぶつどうしゅぎょう)の心構(かま)えを示したことばがあります。中国の天…

木魚歳時記 第932話

気を配る 本年のエトは、「子」(ね)、つまり<ねずみ>です。俳句においては<ねずみ>の異称(いしょう)として<嫁が君>を用います。正月に忌詞(いみことば)を避けるためでしょう。 原始教典『ウダーナヴァルガ』に「自分を苦しめないことば、また、…

木魚歳時記 第931話

日日に新なり 元旦(がんたん)は、元日(がんじつ)と同義語のように考えられています。しかし、元旦(がんたん)は、一月一日の朝を寿(ことほ)ぐことで、元朝(がんちょう)の意味となります。 「日日(ひび)に新(あらた)なり」とは、有名な中国の『…

木魚歳時記 第930話

法を喜ばば臥安く心悦び意清 『法句経』(ほっくきょう)にあることばです。仏教の教えに出逢ったことを喜びと感じるならば、こころ安らかに眠り、こころおだやかにすごし、こころ清らかに人生を歩むことができる・・そんな意味となりましょう。 人間の世界…

木魚歳時記 第929話

教えを守っておごらず 『遊行経』(ゆぎょうきょう)にあることばです。俳句は季語・定型(五・七・五)を基本とします。しかし、山頭火や放哉のような自由律の俳句も魅力を感じます。 風に吹かれて風にまかせて生きているよう見えて、案外、どっしりと自分…

木魚歳時記 第928話

人を先にし自分を後にする 『遊行経』にあることばです。わたしたちの日常はつねに欲望が基本になっています。そのために励(はげ)むことができるのですから、欲望をいちがいに悪いとはいえません。 「人を先にして自分は後にする」。仏教ではこれを「菩薩…

木魚歳時記 第927話

心の静かな人は安らぎを得る 『首楞厳経』(しゅりょうごんきょう)のことばです。仏教の教えにしたがって心静に生きる人は、安らぎの人生を送る。 中国浄土教の祖・善導大師(ぜんどうだいし)はつぎのようにいっておられます。「人、生まれて精進(しょう…

木魚歳時記 第926話

大事は小事より起こる 『老子』(ろうし)にあることばです。困難な問題も容易なことからはじまり、大きな過(あやま)ちも小さな事からはじまる・・という意味です。 『法句経』(ほっくきょう)に「小悪を軽(かろ)んじ、以(もつ)て殃(わざわい)と為…

木魚歳時記 第925話

中道に立つ イエスとノーをはっきりとさせる欧米の考え方からすると、日本人は<あいまいな>国民性を持つと見られがちです。「中道(ちゅうどう)とは、この日和見主義(ひよりみしゅぎ)とか<あいまい>な態度とは違います。 「中道」(ちゅうどう)は、…

木魚歳時記 第924話

善きことには急ぎおもむくべき 『法句経』(ほっくきょう)の中にあることばです。善(よ)きことには、急いで近づくことが大事ですよという意味です。 釈迦(しゃか)は「善(よ)き仲間といっしょに修行(しゅぎょう)している人は、やがて、その人の修行…

木魚歳時記 第923話

諸行無常 「諸行無常」(しょぎょうむじょう)とは「この世の<もの>現象は常に変化して一定することはない」という仏教の基本的な教えです。 一休禅師(いっきゅうぜんじ)は「元日や冥土(めいど)の旅の一里塚、めでたくもありめでたくもなし」と詠われ…

木魚歳時記 第922話

息を吸ってつぎに吐く 寒くなり始めました。冬にむけて、息が白くなるのを見ると、呼吸をしている自分に気がつきます。生きていることを実感します。 『一夜賢善経』(いちやけんぜんきょう)に、「過ぎ去れるを追うことなかれ いまだ来らざるを念(おも)う…

木魚歳時記 第921話

誘惑につられる 夕方になって、蛇は塚に、ワニは水に、鳥は空に、犬は村に、狐は野に、猿は森に、それぞれ帰るつもりでした。が、その日は、力の強いワニに引きずられ、みんなが川に入り、ワニの他はおぼれ死んでしまいました。これは『比喩経』(ひゅきょう…

木魚歳時記 第920話

天から降ってきた一粒の水滴 大乗(だいじょう)、小乗(しょうじょう)といいます。お浄土に渡るための、大きな乗り物、小さな乗り物の意味です。 「天から降ってきた一粒の水滴がよせあつまり流れとなる。どの水滴がどの水滴とくっつくかまさに偶然、出逢…

木魚歳時記 第919話

正しくものを見る 釈迦(しゃか)は「正見」(しょうけん)、つまり、正しくものごとを見つめることにより悟りに達せられたといわれています。 「わが身は汚れたもので執着(しゅちゃく)すべきでない。どのような感じを受けても、それはすべて苦のもとであ…

木魚歳時記 第918話

やさしいまなざし 釈迦(しゃか)は「無財の七施」(むざいのななせ)を説かれました。お金がなくともできる七つの「布施行」(ふせぎょう)、つまりボランティアのことです。 わけあたえるものがない人でも、あたえることができる宝物が七つあります。身施…

木魚歳時記 第917話

心を大地のように広く 薬師寺(奈良)の復興を発願(ほつがん)され、写経勧進(しゃきょうかんじん)により、その大事業を完成された高田好胤(こういん)師の「心。ひろく、ひろく、もっとひろく」のことばを思いだします。 『鋸喩経』(きょゆきょう)の…

木魚歳時記 第916話

彼も人なり我も人なり 中国の詩人韓愈(かんゆ)のことばです。福沢諭吉(ふくざわゆきち)には、おなじような意味の「天は、人の上に人をつくらず。人の下に人をつくらず」のことばもあります。 観無量壽経(かんむりょうじゅきょう)の中に「汝(なんじ)…

木魚歳時記 第915話

工夫を凝らす 学ぶとは<まねる>ことから始まる。これはよく耳にすることばです。俳句の世界でも、多くの名句・秀句・佳句に接することが上達の近道と教えられています。 ところで、その人の資質や体力など、個人の能力にはそれぞれ個人差があります。さら…

木魚歳時記 第914話

短を捨て長を取る 「漢書」(かんしょ)にあることばです。はじめは<いい人>だと思っていても・・ながくいっしょにいるうちに<嫌(いや)な人>に変ることはあるものです。 仏教では「四苦八苦」(しくはっく)を説きます。その中に「怨憎会苦」(おんぞ…

木魚歳時記 第913話

大事は小事より起こる 「老子」(ろうし)にあることばです。大事(だいじ)、つまり大きな仕事を行うときには、小事(しょうじ)、つまりささいに見えることにも注意を向けなさい。でないと、思わぬ油断(ゆだん・油が切れること)の失敗が待っていますよ。…

木魚歳時記 第912話

好きの道に辛労なし 「好きの道に辛労(しんろう)なし」とか、また「好きこそ物の上手なれ」とはよく云ったものです。たしかに好きなことをしているときは時間が過ぎるのも早く、疲れも残りません。 『無量壽経』(むりょうじゅきょう)の中に「たとい身を…

木魚歳時記 第911話

心をいつも平らかに 『四十二章経』にあることばです。心が平静(へいせい)でないと、ものごとを正しく見ることができません。波うつ水面には、ものの影が正しく映らないようなものです。 わたしたちはつねに心がゆれうごきます。このように、心をいつも平…