右の組では幕をおろして見向きしないで、急に院がいつものごひいきと若という遊女を呼び出しにやった。この白拍子(しらびょうし)には、この日鼓を打たせてだけで、ほかのことをはおさせにならなかった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)874
大堂に黒如の僧や雨安居 安居(あんご)
「ボクの細道]好きな俳句(1959) 岡本 眸さん。「川上に北のさびしさ閑古鳥」(眸) 川の上流が北の方角であえば、それは、鄙(ひなびた)ことになりそうです。さて、年二回(夏と冬)に、僧たちは、晴耕雨読の勉強会を開きます。夏の安居を雨安居(あめあんご)、冬の安居を雪安居(ゆきあんご)と呼ぶようです。黒如(こくにょ)の僧、つまり、黒衣(こくえ)に袈裟(けさ)をつけた僧たちの集合は壮観です。
よろこびは、ほ(法)うのたからで、
をやのたからで、
もろて(貰ふて)うれしや、
なむあみだぶつ。
『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)