「飼い主と同じく、ごく地味に勝ったね」
と仰せられると、門院はにこりと皓歯(こうし)を見せて院とお目をお見合わせあった。
その院のお膝には、宗盛の子の清宗という今年三つの稚子が、おとなたちの見ものに相屈して眠ってしまっていた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)876
寺に生れ寺に育ちて茗荷の子 茗荷(みょうが)
「ボクの細道]好きな俳句(1961) 岡本 眸さん。「うつし身の寒極まりし笑ひ声」(眸) 問題は「寒極まりし」です。「うつし身」に続きますから、作者ご自身のことでしょうか? でも、なんだか落ち着かない気持ちは収まりません。まあ、こんな作品と出会ったときは、同じ作者の「嘘ばかりつく男らとビール飲む」(眸)を思い出すことです。
ほとけのごゑんにあいぬれば、
ほとけのごゑん、なむあみだぶつ。
『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)