木魚歳時記第4219話

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 「飼い主と同じく、ごく地味に勝ったね」
 と仰せられると、門院はにこりと皓歯(こうし)を見せて院とお目をお見合わせあった。
 その院のお膝には、宗盛の子の清宗という今年三つの稚子が、おとなたちの見ものに相屈して眠ってしまっていた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)876

     寺に生れ寺に育ちて茗荷の子  茗荷(みょうが)

 「ボクの細道]好きな俳句(1961) 岡本 眸さん。「うつし身の寒極まりし笑ひ声」(眸) 問題は「寒極まりし」です。「うつし身」に続きますから、作者ご自身のことでしょうか? でも、なんだか落ち着かない気持ちは収まりません。まあ、こんな作品と出会ったときは、同じ作者の「嘘ばかりつく男らとビール飲む」(眸)を思い出すことです。

  ほとけのごゑんにあいぬれば、
  ほとけのごゑん、なむあみだぶつ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)