木魚歳時記第4865話

  法然はこの日かって人々の心配を案じたか、平素よりも元気よくてきぱきと振る舞い、老人らしいところは少しも見えなかった。
 別れを惜しむ兼実に対してもtだ一語を残して庭に下り立ち、さすがに後ろ髪を引かれる思いはあるらしく、合掌して伏し拝み見送っていた兼実を、一度振り返って見たまま、用意してあった中庭の粗末な張輿(はりこし)のなかへ、そのたくましく肩幅の広い後ろ姿を無造作に消した。(佐藤春夫『極楽から来た』)

          滴りて焔青めく明王像

「滴り」(いたたり)は夏季となります。きらら坂を詩仙堂の方に向かいます。すると道路に沿った洞窟に明王像が安置してあります。折からの激しい雨に打たれて、祀られた明王の焔(ほむら)が青めいていたのを覚えています!