木魚歳時記第4760話

 (三)式子内親王が内にこもって燃焼するのとちょうど反対に、熊谷はその直情を直ちに外に流露させなければおかない。それは男女の差か、それとも境遇の別か、熊谷の一挙一動を見ても、法然は式子内新王を思い出して、人柄の差別を考え、しかも差別のある二人が、清浄無垢の人たる点では全く同じとも考えた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)1395

       4 滴りて焔青めく明王像

 明王(みょうおう)とは、大日如来にお仕えするインド古来の「神将」(しんしょう)です。釈迦(しゃか)の教え、すなわち、仏教に帰依(きえ)した時より仏教の守護神となりました。京都の青蓮院に所蔵される「青不動明王」はとりわけ有名です。さきほどから滝のように降りつづける雨の中で、不動明王像の焔(ほむら)が激しく青めいたようです。