木魚歳時記第4812話 

 長兼は使者と問答して彼らの疑念を申し開きし、職事が宣旨を下す習いとして、一言半句とて勅諚(ちょくじょう)にないことは載せない。これを衆徒らが私の詞を加えたように邪推している。蔵人頭に補せせられて既に五代を経た重大奉公の家としてそれ程の事を心得ないはずはないではないか。衆徒の申し分はあまりにも無智で、山法師たちのいうところは横車も甚だしい。もしお上の仰せられているところが意に満たずば、改めて宣下を請うこともできるといわれて使者たちは閉口して引き下がりながら、彼らは直ぐ、改めて長兼を経て重ねての訴えに及んだ。
(佐藤春夫『極楽から来た』)1446

                     骨拾ふことなき兄よ浮いてこい

 「浮いてこい」は浮人形の傍題で夏季となります。この俳句は、ぼくの長兄のことを詠った俳句です。長兄は、仏教系の各大学から選ばれた学生20名ほどで、終戦(2次大戦)まじかの昭和18年頃に、ベトナムに渡り、終戦の動乱んで行方不明(民間人)となりました! 戦後、3年ほどして、政府から通知(死亡)が届きました! 嗚呼。