木魚歳時記第4387話

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 衆徒のなかから甲冑(かっちゅう)をつけた悪僧が数人進み出で、八条院使者を取り押え、
 「これをみやげにせよ」
 と彼らの髻(もとどり)を切って投げ与え、嘲(あざけり)り罵(ののし)りながら山門から突き出した。
(佐藤春夫『極楽から来た』)1037

       薄氷の小竹藪町三番地

 「ボクの細道]好きな俳句(2127) 波多野爽波さん。「蓑虫にうすうす目鼻ありにけり」(爽波) 目鼻、と言われると? 蓑虫(みのむし)の「目鼻」については、関心がありませんでした。さて、お料理のコツと句作のコツには共通点があるようです。お料理のコツ(その1)。「人は感覚を研ぎ澄まし、素材のおいしさを探す」→ 句作のコツ

  こころのよろこびあなたので、
  こころいたれて、
  なむあみだぶつ、なむあみだぶつ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)

 

木魚歳時記第4386話

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 強いても連れ帰ろうとするので、王は憤然として、
「我はたとえ衆徒が我を捨てるとも、決して人手には渡らない。ここに一命を終る覚悟である」
 と宣言して衆徒らを感激させた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)1036

       綿虫のここにあつまる狐坂

 「ボクの細道]好きな俳句(2126) 波多野爽波さん。「吊したる箒に秋の星ちかく」(爽波) 吊るされた箒(ほうき)の向こう、ガラス戸の外へ目をやると、夜空の星たちが思いっ切り輝いているのが見えます。スケールの大きな作品です。嗚呼、こんな作品が詠めるようになりたい(汗)。

  わしが思ひはあなたの思ひ、
  わしがこころにあたつてみせ
  御恩うれしやなむあみだぶつ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)

木魚歳時記第4385話

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 直ちに王の後を追う手て来るはずの頼政は、待てど暮らせど姿を見せない。いささか心細いところへ、頼政ではなく、かえって八条院からの使者が来て、即刻の帰京を促すのであった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)1035

     そのあとはへろりへろへろ恋の猫       

 「ボクの細道]好きな俳句(2125) 波多野爽波さん。「ソース壜汚れて立てる野分かな」(爽波) 台風が接近するというのに・・ソースの空き瓶が、歩道の隅に屹然と立っている。さて、恋猫の「騒動」も一件落着? ともかく「あかん男」はあかん。私だ!

  南無はあみdの名号で、阿弥陀はなむの名号で、
  これがさいちがなむあみだぶつ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)

 

木魚歳時記第4384話

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 頼政は三井寺の衆徒は直ちに蹶起(けっき)して都に来るものと甘い観測をして、これを待ち、自分は手兵を従えて宗徒に合流して六波羅に夜襲をする予定で、王は三井寺の蹶起を促すために先発したのである。
 上皇の厳島詣でなどで反平家熱は平素より一段と高かったとはいえ、三井寺とてもそう簡単に動くものではなかった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)1034

        恋猫の二つの耳と二つ目

 「ボクの細道]好きな俳句(2124) 波多野爽波さん。「秋風に孤(ひと)つや妻のバスタオル」(爽波) 外湯でしようか? 脱衣所に降りたところ、すでに(見慣れた)妻のバスタオルが・・ことばにはならない衝撃が(笑)。さて、俳句では、とりわけ「五感」が重視されます。「恋猫」は、ボクの気に入った17文字となりました(汗)。

  をやにだかれて子はここに、
  をやにだかれて、なむあみだぶつ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)

木魚歳時記第4383話

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 しかし王はその前夜、頼政の献策により、月光に乗じて女装して第を脱出して、三井寺に入っていた。三井寺は延暦寺が常に清盛と相結んでいる関係上反平家であり、法皇との関係が篤かったから、王を迎えて王を援(たす)けた。しか頼政が希望したように容易には動かなかった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)1033

      丑三つのあの世この世や猫の恋

 「ボクの細道]好きな俳句(2123) 波多野爽波さん。「まひるまの秋刀魚の長く焼かれあり」(爽波) 「まひるま」が、いいですね! ところで、季語「恋の猫」「猫の恋」については、ボクも、それらしき俳句を作ろうとトライしてみました(汗)。実に、才能ナシの「あかん男」は実在するものです。私だ(笑)。

  をやしらせ、親知らせるなむあみだぶつ、
  こころをすごす、をやのお慈悲で。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)

 

木魚歳時記第4382話

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 (二)以仁王に源姓を賜うて庶民に落し、仁お字は彼にもったいないと名を以光(もちてる)と改めさせたうえで土佐に流す手順にして置いて、清盛は検非違使を高倉第に向かわせたものであった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)1032

       山眠るふもとに小さき狐塚

 「ボクの細道]好きな俳句(2122) 波多野爽波さん。「夜の湖の暗きを流れ桐一葉」(爽波) きびしい作品です。自己を視点に置いた「つぶやき」でしょうか? くらべることはおこがましいですが、ボクに「病葉の己が内なる寂光土」があります。常に病弱であったボクの「つぶやき」です(汗)。

  明ごはなむあみだぶつ、
  なむあみだぶつはわしがをやさま、
  なむあみだぶつ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)

 

木魚歳時記第4381話

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 五月十五日、検非違使兼綱(頼政の次男)らが三条高倉宮に向かった時、門は堅く閉されて敲(たた)けども応対もない。裏門を押し破って屋内に入ると、暮れなずむうすら明りの座敷に幼い二児が組打ちして戯れるのをその母が見守っているばかりで、宮の姿はどこにもなかった。婦人にその行方を問うが知らない。事実知らぬらしいから深くは追及せず、兼綱はただ、泣きわめく二児を人質として抱き捕えて帰った。
(佐藤春夫『極楽から来た』)1031

        草庵に来て六年や帰り花 

 「ボクの細道]好きな俳句(2121) 波多野爽波さん。「夕方の顔が爽やか吉野の子」(爽波) 「吉野の子」が素敵です! 読者がいろいろと想像できるからです。さて「帰り花」とは、サクラに限らず、季節外れに咲く花のことです。ボクは、最近、慢性心不全と診断され、早速「コ・ボレーヌ」つまり、尿瓶(しびん)を買い求めました(笑)。

  弥陀のほを(法)ならわしが法、
  わしが法ならなむあみだぶつ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)