木魚歳時記第4874話 

 港の入船からしょんぼりと下りると、すぐ片側町を目ざしてたどり、しばらくうろうろしていたが、つい町並みの一軒のささやかな居酒屋めいた家の中に入って行った風体も人相もあまりよくないよぼよぼに老いたひとりの旅人があった。
 早速に家の主に迎えられて主客は久しぶりのめぐり合いらしい会話を交わしながら、長い土間の奥の方に入って行った。
(佐藤春夫『極楽から来た』)

        小僧さんここよここよと墨とんぼ

 「墨 」は秋季となります。ぼくの子どもの頃は、墨(すみ)とんぼを「お羽黒さん」と呼んでいました! ぼくは小3の頃、墨とんぼの「ふはふは」に誘われて御苑の端(はじ)まで行きました(汗)。