木魚歳時記第4733話

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 またおもわずさきだてまいらせ候事になるさだめなきにて候とも、ついに一仏浄土にまいりあいまいせ候わんは、うたがいなくおぼえ候、ゆめまぼろしのこの世にていま一度などと、おもい申候事は、もかくても候いなん。これをば一すじにおぼしすてて、いとどもふかくねがう御心ををもまし、念をもはげましおわしまして、かしこにてまたんとおぼしめすべし候。返々もなおなお往生をうたがう御候まじく候。(佐藤春夫『極楽から来た』)1370

                       嘘二つ放り上げたるとんぼ釣り  

 小石を二つ、油紙にくるんで赤トンボの旋回する軌道に投げ上げると、ジジャ~と音を立て、トンボがからまり落ちてきます。なんとも緊張する一瞬です。「智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」。これは、漱石の『草枕』冒頭です。ぼくは、高3の時に病気で落第(2年間)しました。それからも、大学時代は、この養生に費やしました。これは辛かった。そんな時、小説の「那古井」の湯治場を訪ね旅に出たこともありました(笑)。