木魚歳時記第4746話

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 『勅伝』(ちょくでん)と称する知恩院の祖師が『四十八巻伝』には、「大谷は、上人往生の地なり。かの跡いまにあり、東西三丈余り、南北十丈ばかり、このうちにたてられけん坊舎、いくほどのかまえにあらんかと見えたり。その節倹のほどもおもいやられて、あわれにたくぞ侍る。いまの御影堂(みえいどう)の跡これなり」とある。常に当年の事跡を旧記にもとづいて伝える『勅伝』は、ここでも歴々と大谷吉水の当時を語りついでいる。(佐藤春夫『極楽から来た』)1382

          山滴る万物すでに仏たり

 「山笑ふ」(春)「山滴る」(夏)「山粧ふ」(秋)「山眠る」(冬) の四季に応じて季語が用意されています。そのうちでも、ぼくは「山滴る」が好きです。草木が、すっかり繁茂して「万物仏たり」の峰が生き生きと輝きます。喜びに満ち満ちた瞬間です。大らかで気持ちが良いです。この作品は、一息に詠み切れたことに納得しています。