木魚歳時記第4860話

 

 この生き仏さながらの現象は、兼実のほかその場に居合わせた何人も見なかったというのだから、これは兼実の上人に対する深い信仰が発露しこの奇瑞となったものに相違ない。
 それほどに帰依し参らす上人を遠くに送らねばならない兼実の心事はどれほど切なかったろうか。まして上人は七十五歳の高齢であり、兼実とても五十である。この生別がやがて死別にならないとは誰が保障しようか。
(佐藤春夫『極楽から来た』)

      鼓虫のまいまいだけにある愉悦  愉悦(ゆえつ)

 「鼓虫」(まいまい)は夏季となります。雨後の水溜など覗き込むと「鼓虫」(まいまい)が回って居ました。飽きることないクルクルを見ていると面白くて! ぼくも一日中「まいまい」みたいに、クウクルして暮らしていますから(笑)。