木魚歳時記第4836話

 叡山で、聖覚から得て読んだ未完の『愚管抄』は師の大僧正が自ら書いたとも、口述を人をして代って記さしめてその志を述べたものといわれるが、今にして思えば聖覚が師慈円の思いをくんで彼に読ませたとも考えられる。慈円が兄兼実はじめ己が方人(かたうど)に、志を伝えるための著書であるのは疑うまでもなく、善信はおくればせながらそれに気づくと、いよいよ師の大僧正のあせりやいらだちが悲しく、新時代への無理解が気の毒になった。聖覚の好意がはからずも逆効果となったのである。(佐藤春夫『極楽から来た』)

         大空は君たちのもの燕の子

 燕(つばめ)の営巣は年2回だそうです。一番目は4・5月頃(春季)で、二番目が「燕の子」(夏季)で6・7月頃のようです。さて、ベランダにツバメの巣づくりの気配がありました。結果、熟しませんでした。いずれ、みんなそろって南に帰るのでしょう。大空は君たちのもの! みんなの無事を願っています!