木魚歳時記第4777話

 法然は事態のさっぱりしたのを喜び、熊谷の処置をよしとした。これが現存の誕生寺の由来である。
 魚住の泊りや、小野に重源の別所を見て来たという熊谷を法然は羨(うらや)み、めずらしげにそのみやげ話に耳を傾ける時、師はまるで子供だと熊谷は思った。
(佐藤春夫『極楽から来た』)1411

          紅梅の濃すぎるほどに門跡寺

 曼殊院を訪れた時に作った俳句です。門跡寺にしては艶やかな梅のほころびるのと出会った印象がひときわ強く残っています。それだけの気持ちできた俳句です。「難しいことを易しく。易しいことをより深く。より深いことを楽しく」(井上ひさし)。より深いことは?「濃すぎる」vs「門跡寺」をどのように読むか? それは読者の自由です!