木魚歳時記第4725話

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 この世はいくら久しく住し止まっても、しょせんは夢まぼろしの世界。つかの間の事、おなじみ仏の国に生まれて、ともに過去世の事をも語り、また互いに未来の化益(けやく)を助け合いましょうとはじめてお目にかかった時からくれぐれも申し上げて置いたではございませんか。
(佐藤春夫『極楽から来た』)1362

         骨拾ふことなき兄よ浮いてこい

 長兄は1919年、おなじく大阪の西向寺で生まれました。大学(学生)を代表して、仏教研修を深めるため、終戦直後の仏領(ふつりょう)インド支那(当時)にわたり在住しました。ところが、終戦(2次)の混乱に巻き込まれ、シェクアン近くで行方不明となりました。因って、長兄の逝去にかかわる詳細(当時)については全く不明のままです。嗚呼。 
 
    わしやなんともない、
 よばれるこゑのこい(来い)にとられ、
 なむあみだぶつ。
 『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)