木魚歳時記第4335話

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 行綱の密告から、西光の承伏(しょうふく)、そこで成親を捕えて「ほとんど面縛(めんばく)に及ん」だ。面縛とは、うしろ手に縛りあげて顔を人にさらさせることである。成親とてさすがにぺらぺらとは口は割らなかったが、西光ほどは立派な悪党ぶりではなかった。鎌をかけられてぼつぼつ全容を明かしてしまった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)986

      虎の子を手放すことに暮の秋

 「ボクの細道]好きな俳句(2075) 永田耕衣さん。「寒鯉を抱き余してぬれざる人」(耕衣) 「寒鯉を抱き余して」とは? 瓢箪(ひょうたん)で鯰(なまず)を押えた話。つまり『瓢鮎図』(てんこず)のことでしょうか? いや、そんな難しい話ではない。あまりにも粛々とありがままに「寒を」迎えようす寒鯉のありように作者は感動されたのでは・・

  わたしや、しわあせ、
       てん(天)にも、ち(地)にも、
  これがひとつの、なむあみだぶつ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)