しかし頼政にあかれた小侍従は餞別として何かかたみなどと色気を持たせながらも、一ころは大宮御所を去って、別の情人とともに美濃に行ったりもしている。
しかし間もなく都が恋しくなったらしく、小侍従はふらりとひとり都へ立ち帰った。
そうしてこの時は、二代の后多子(たし)の兄で、小侍従より十六、七歳年下の左大臣後徳大寺実定の忘れ難さに都に帰ってきたようなことをいう小侍従であった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)637
さつきからいつたりきたり赤とんぼ
「ボクの細道]好きな俳句(1710) 松尾芭蕉さん。「旅に病で夢は枯野をかけ廻る」(芭蕉) 辞世の、超、超、超有名句。
人を誉めるのは
本当の賢者のみである
智慧のある人は戒を守り
誰を謗(そしる)ることもない(ブッダ)
毛虫(けむし)4 彼女は一本の薔薇(ばら)の木の下で止まる。 例の細かいボックの先で、その幹のごつごつさた肌をさわってみ、生まれたばかりの仔犬ような小さな頭ん振り立てながら、やがて決心してよじ登り始める。